分譲マンションの賃貸管理
管理組合との違いと貸す準備
分譲マンションを貸すときは、建物の管理と貸した部屋の管理を分けて確認します。管理会社が付いていても、入居者対応まで任せられるとは限りません。この記事の範囲は賃貸オーナー向けの貸す準備で、管理組合・入居者向けの解説は対象外です。
- 結論
管理組合からの委託とオーナーからの委託では、契約の当事者が異なります。会社名ではなく契約上の役割を確認し、依頼する業務と担当窓口を書き出します。
- 貸す前にそろえるもの
- 窓口:共用部・室内設備・家賃の相談先と時間外の連絡方法
- 規約:最新版の管理規約・使用細則と入居者への案内
- 支出:管理組合への支払いと賃貸管理の委託料
- 委託範囲:受付・手配・承認・報告を担当する人
- 判断の出発点
室内にある設備でも、専有部分に属するとは限りません。管理規約や図面で区分を調べ、修理の手配先と費用負担者をそれぞれ確認します。
01管理組合側と賃貸管理側を分けます

共用部・敷地と入居者・専有部の役割
区分所有法第3条は、区分所有者全員で構成する団体を定めています。建物や敷地、附属施設の管理を行う団体で、通常は管理組合と呼ばれます。部屋を貸しても、所有者は引き続き構成員です。
一般に、管理組合側は共用部や敷地などを管理します。賃貸管理側は、オーナーとの契約に沿って貸室の維持保全や入居者対応を担います。募集や家賃回収も含むかは、委託先に確認します。
同じ会社が両方の業務を受ける場合もあります。管理組合からの業務案内とオーナーの管理委託契約書を照合します。入居者対応の記載がなければ、依頼できる業務と契約手続を問い合わせます。
委託する業務の全体像は、賃貸管理会社の役割で確認できます。次の表を使い、対象ごとの窓口と確認書類を書き出します。
共用部の不具合と室内設備の連絡先
| 対象 | 窓口 | 確認書類 |
|---|---|---|
| 廊下・エントランスなどの共用部 | 管理組合側の指定窓口 | 管理規約・使用細則・連絡先案内 |
| 貸室の設備の故障や入居者からの相談 | オーナーまたは委託した賃貸管理会社 | 賃貸借契約書・設備表・管理委託契約書 |
| 家賃の支払い・入金確認 | 契約で定めた家賃管理の担当 | 賃貸借契約書・管理委託契約書 |
| 配管など区分が分かりにくい設備 | 事前に決めた受付窓口から関係先へ照会 | 管理規約・図面・設備資料 |
入居者には、通常の相談先と時間外の連絡方法を案内します。原因が分からない不具合については、最初に連絡する窓口も記載します。受付後に他方へ照会する担当を、双方の窓口と決めておきます。
02規約を受け取り、入居者への伝え方を決めます

ペット・楽器・ごみ出し・駐輪の確認
貸す前に、管理組合側から最新の管理規約と使用細則を受け取ります。購入時の資料だけでは、その後の変更が分からない場合があります。使用方法に関する集会の決議や、別配布の利用案内も確認します。
区分所有法第46条第2項は、占有者の使用方法に関する義務を定めています。入居者も、建物・敷地・附属施設の使用方法について義務を負います。規約や集会の決議に基づき所有者が負う義務と同じです。
| 項目 | 確認する内容 | 反映する先 |
|---|---|---|
| ペット | 飼育の可否・条件・必要な届出 | 募集条件・賃貸借契約・入居案内 |
| 楽器 | 演奏の可否・時間帯・使用上の条件 | 募集条件・賃貸借契約・入居案内 |
| ごみ出し | 集積所・分別・搬出方法などの決まり | 入居案内 |
| 駐輪 | 利用手続・利用場所・使用料の扱い | 募集時の説明・入居案内 |
規約上使える設備でも、利用申請が必要な場合があります。駐輪などは、空き状況と利用開始までの手続を管理組合側に確認します。募集資料には、確認した利用条件と申請の要否を記載します。
募集条件を広げる検討は、ペット可・二人入居などの条件を見直す記事で扱います。変更したい条件を規約と照合し、不明点は募集前に管理組合側へ照会します。
賃貸借契約と入居案内への反映
規約の写しと併せて、暮らしに関わる決まりを入居案内にまとめます。募集資料と賃貸借契約の条件を照合します。説明に違いがあれば、契約前に資料を修正し、入居予定者へ説明します。
案内には、参照した規約や細則の名称と、記載されている改定日を添えます。交付した資料と説明の記録も残します。貸した後の変更通知については、受取人と入居者への伝達担当を決めておきます。
ごみの問題が起きた後の対応は、入居者のごみ出しトラブルへの対応で確認できます。入居案内には集積所の場所と利用方法を記載し、引渡し時に説明します。
03管理費・修繕積立金を支出として整理します

管理組合への支出と管理委託料の違い
一般に、管理費と修繕積立金は所有者が管理組合へ支払います。賃貸管理会社への管理委託料とは別の支出欄に記入します。規約と請求通知を確認し、支払先・金額・支払方法を転記します。
| 支出 | 整理する内容 | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 管理費 | 管理組合へ支払う金額と支払方法 | 管理規約・請求通知 |
| 修繕積立金 | 現在の支払額と変更予定の有無 | 管理規約・総会議事録・修繕計画 |
| 管理委託料 | 賃貸管理の報酬と対象となる業務 | 管理委託契約書・見積書 |
| 個別の修理等の費用 | 費用負担・事前承認・精算の方法 | 規約・賃貸借契約書・管理委託契約書 |
入居者から受け取る共益費や管理費は、賃貸借契約に基づく収入です。管理組合へ支払う管理費とは別の欄に記録します。名称が同じでも、金額や支払義務が連動するとは限りません。
収支表では、家賃などの収入から各支出を差し引きます。送金時に控除済みの委託料は、重ねて差し引かないよう明細と照合します。空室中も続く支出は、規約や契約で確認して記入します。
収納や送金の委託範囲は、家賃管理を委託するときの確認事項で扱います。送金明細の項目が分からない場合は、委託先へ内訳を照会します。
修繕計画・議事録で将来の支出を確認
修繕計画と総会議事録から、積立金の変更や一時金の記載を探します。該当箇所を控え、検討中か決議済みかを記入します。計画に金額が載っていても、支払いが決まったとは限りません。
変更が決議済みの場合は、適用時期と支払方法を収支表に反映します。資料だけでは判断できなければ、該当箇所を示して管理組合側へ照会します。回答は、確認日と担当窓口とともに保存します。
修繕計画は将来の工事や資金計画を確認する資料です。実際の負担の有無や金額は、規約・決議・請求通知等を照合して確認します。
04貸す前にオーナーが決めることをまとめます

自主管理か委託か、任せる業務を決める
入居者対応を自分で行うか、管理会社へ委託するかを決めます。一部を任せる場合は、残る業務の担当も書き出します。管理組合側の対応範囲と照合し、担当が未定の業務は引渡し前に割り当てます。
- 募集・契約:募集条件の確認と契約手続の依頼先を決め、管理委託とは別の契約が必要か確認します。
- 入居者対応:相談受付・現地確認・管理組合側への連絡担当を決めます。
- 家賃管理:入金確認・未入金時の連絡・送金の担当を決めます。
- 設備修理:通常時の承認条件と、緊急時に承認を待てない場合の手配・報告方法を決めます。
- 報告:報告する内容・頻度・連絡方法を契約で確認します。
国交省の標準管理受託契約書は、賃貸住宅の一棟全体を対象とするひな形です。分譲住戸を貸す場合は、対象住戸と委託業務を個別に記載します。共用部など管理組合側が扱う範囲との重複も確認します。
登録業者には、原則として契約前の重要事項説明と、契約締結時の書面交付の義務があります。説明時に業務範囲と費用を確認します。契約後は交付書面と照合し、相違があれば訂正を求めます。
委託へ移る準備は、自主管理からの切替で確認できます。契約を比べる際は、管理会社の選び方を参照してください。
規約・連絡先・支出を確認して引き渡す
引渡し前には、集めた資料と決めた担当を照合します。口頭で合意した事項は、案内や契約書面に反映します。次の表を使い、未確認の項目に確認先・担当・回答内容を記入します。
| 最終確認 | 確認する相手 | 決めて残すこと |
|---|---|---|
| 規約・使用細則 | 管理組合側の窓口 | 最新版の資料と入居者への交付担当 |
| 届出・利用申請 | 管理組合側の窓口 | 賃貸時に必要な手続と提出担当 |
| 連絡先 | 賃貸管理の担当・管理組合側の窓口 | 通常時・時間外の受付と相互の連絡方法 |
| 毎月と将来の支出 | 管理組合側の窓口・委託先 | 金額・支払方法・決定済みの変更 |
| 委託範囲 | 賃貸管理の担当 | 業務の担当・修理の承認条件・報告方法 |
05当社でできること・できないこと
できること
- 管理規約等を確認し、賃貸管理としてお引き受けする業務の範囲をご案内する
- 設備の設置・変更を検討する際に、規約上の制限と管理組合側への申請の要否を確認する
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)
できないこと
- 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
- 空室が必ず埋まると保証すること
- 管理規約や必要な承認手続に反する設備の設置・変更を行うこと
いまの管理で見落とされている点を、物件単位で確認できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。管理組合の構成と使用方法に関する占有者の義務:建物の区分所有等に関する法律(第3条・第46条第2項)。一棟全体を対象とするひな形と業務区分・報酬・報告の確認:国土交通省「賃貸住宅標準管理受託契約書」。登録業者の説明・書面交付等の義務:賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律。業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください