退去の立会いで、
オーナーが見ておくべきところ
退去の立会いは、原状回復で揉めないための場であると同時に、次の募集をいつ始められるかを決める場でもあります。ここを後回しにすると、空室期間がそのまま延びます。
- 結論
立会いでやることは3つです。①状態を記録する ②負担の区分をその場で確認する ③次の工事の範囲を決める。この3つが揃うと、精算も募集も止まりません。
- 記録のしかた
- 部屋ごとに、引きの写真と、傷のある箇所の寄りの写真を撮る
- 撮った日付が残る形にする(スマートフォンで構いません)
- 入居者にも同じものを見てもらい、その場で認識をそろえる
- 確認した内容を書面にして、双方で持つ
- その場で決めておくこと
どこがオーナー負担で、どこが入居者負担か。後日の見積書で初めて伝えると、必ず争いになります。原則は「通常の使い方でついたものはオーナー負担」です。
- 確定しないこと
負担の区分は、契約書の特約や個別の事情で変わります。ここに書いたのは一般的な考え方です。
01立会いは、いつやるか
退去の予告は多くの契約で1か月前です。その連絡を受けた時点で、立会いの日程を決めてしまいます。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 退去の連絡を受けたとき | 立会いの日程を決める(退去日当日か、翌日) |
| 立会い当日 | 記録・負担区分の確認・工事範囲の決定 |
| 立会いの翌日〜 | 見積もり依頼/発注 |
| 工事完了後 | クリーニング → 写真撮影 → 掲載 |
02見る順番
部屋を一周する順番を決めておくと、抜けがありません。
- 玄関(ドア・鍵・たたき・下駄箱の中)
- 居室(クロス・床・建具・窓・網戸・カーテンレール)
- キッチン(コンロ周りの油汚れ・シンク・排水・収納の中)
- 浴室・洗面・トイレ(カビ・水垢・パッキン・便座)
- 収納の中(かび臭さ・棚板)
- バルコニー(排水口・手すり・残置物)
- 設備(エアコンの効き・給湯器の点火・換気扇・照明)
- 鍵の返却本数(契約書の本数と合っているか)
とくに収納の中とバルコニーは見落とされます。残置物があると、処分費が後から出てきます。
03負担の区分を、その場で伝える
後日の見積書で初めて「これは入居者負担です」と伝えると、必ず揉めます。立会いの場で口頭でも確認しておくと、その後が進みます。
| 状態 | 負担の考え方 |
|---|---|
| 日焼けによるクロスの変色 | オーナー |
| 家具を置いた床のへこみ | オーナー |
| 画鋲・ピンの穴 | オーナー(下地に達していなければ) |
| たばこのヤニ・におい | 入居者(ただし経過年数を考慮) |
| 掃除不足による水回りのカビ・水垢 | 入居者 |
| 下地まで達する傷・落書き | 入居者 |
入居者負担になる場合でも、経過年数に応じて負担割合は下がります。クロスなら6年で残存価値はほぼ無くなる、という考え方が使われます。
04その場で工事の範囲を決める
原状回復(元に戻す)と、空室対策(次を決めやすくする)は別物です。立会いの場で、両方をまとめて洗い出しておくと、発注が1回で済みます。
- 原状回復として必ず要るもの(クリーニング・破損の補修)
- 次の募集のためにやったほうがよいもの(クロス・設備)
- 今回は見送るもの
05オーナーが立ち会えないとき
管理会社が立ち会う場合でも、次を求めておけば同じことができます。
- 立会い当日中に、部屋ごとの写真を送ってもらう
- 負担区分の案を、写真とセットで出してもらう
- 工事の範囲について、必須と任意を分けて提案してもらう
- 鍵の返却本数を確認してもらう
写真さえあれば、離れていても判断できます。「立ち会えないから任せきり」にしないことが、精算でも募集でも効きます。
06よくある質問
入居者が立会いを拒んだ場合はどうしますか
拒否された場合でも、退去後に室内を確認して記録を残してください。ただし一方的な確認は後から争いになりやすいので、写真の日付と、確認内容を書面で通知しておくことが大切です。
敷金の精算はいつまでに行いますか
契約書で期限が定められていることが多く、1か月以内としているものが一般的です。ご自身の契約書を確認してください。
鍵が1本足りないと言われました
鍵の本数は契約書に記載があるのが通常です。紛失であればシリンダー交換の費用が発生します。防犯上、返却本数が合わない場合は交換するのが基本です。
07当社でできること・できないこと
できること
- 立会いで確認する項目の一覧をお渡しする
- 写真と見積もりから、負担区分と工事の優先順位を整理する
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%)
できないこと
- 個別の争いについて、法律上の判断を示すこと(弁護士の領域です)
- 入居者との精算交渉を、オーナーに代わって最終決定すること
- 契約書の特約が有効かどうかを断定すること
入居者対応も含めて、管理上の不安を整理できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
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