転勤で家を貸す前に
ローンと帰任予定を確認
転勤中だけ家を貸したくても、帰任日に合わせて戻れるとは限りません。借入先の回答、帰任予定、契約の終了条件の順に確認します。この記事は賃貸オーナー向けで、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。
- 結論
住宅ローン返済中なら、貸出条件を決める前に借入先へ相談します。帰任後の再入居に向けて、契約の終了条件と明渡し後の作業を管理会社に確認します。
- 検討する順序
- 借入契約書と居住予定をそろえ、賃貸の可否と手続きを確認する
- 帰任が予定どおり・前倒し・延長の場合を整理する
- 契約方式と期間を検討し、説明・終了通知の担当を決める
- 再入居の見通し
帰任予定日、契約満了日、明渡し日、再入居日は分けて記録します。帰任が早まる場合に備え、仮住まいの候補と必要な費用を家族で確認します。
01住宅ローンの借入先へ先に確認する

借入契約書と本人・家族の居住予定を整理する
住宅ローン返済中の家を貸せるかは、個別の借入契約や借入先の判断によります。転勤を理由に自己判断せず、賃貸の計画を借入先に伝えて確認します。
まず借入契約書と約款、契約変更の書類を用意します。居住に関する条件や届出の規定に印を付け、不明な箇所を質問として書き出します。
本人だけが転居する場合と、家族も転居する場合を分けて伝えます。家族が残る予定なら、貸す部屋や範囲も示し、その計画で賃貸できるかを確認します。
| 整理する事項 | 借入先へ伝える内容 |
|---|---|
| 転勤の予定 | 転勤期間と帰任予定の確度。未定の部分は未定と伝える |
| 本人・家族の居住 | 誰が転居し、誰が住み続ける予定か |
| 賃貸の予定 | 貸す範囲、貸し始めたい時期、想定する賃貸期間 |
| 手元の契約 | 居住条件や届出に関する条項、変更済みの条件 |
勤務先の通知など、転勤の事情を示す資料も手元にそろえます。借入先に提出が必要かを尋ね、指定された書類と提出先を記録します。
賃貸の可否・必要書類・回答を記録する
借入先には、賃貸の可否だけでなく、承認や届出の手続きも確認します。必要書類、手続きの完了条件、借入条件への影響をまとめて尋ねます。
相談した日、担当窓口、伝えた事情、回答内容を記録します。電話での回答は要点を整理し、書面やメールで確認できるかも尋ねておきます。
条件付きの回答なら、満たすべき条件と対応状況を管理会社にも共有します。貸出期間や家族の居住予定が変わる場合の連絡先も、借入先に確認します。
この確認手順は編集部の実務提案です。民法を、転勤時の賃貸を一律に認める根拠として扱うものではありません。回答が曖昧なら、未回答の質問をまとめて借入先へ再相談します。
02帰任予定の確度から貸出期間を考える

予定どおり・前倒し・延長を整理する
借入先の回答を確認したら、帰任予定の確度を整理します。勤務先から確定している事項と、本人の希望や見込みを分けて書き出します。
自宅へ戻りたい時期を管理会社に伝え、契約期間の案を出してもらいます。各案について、帰任が前倒し・延長になった場合の対応を確認します。
| 帰任の変化 | 住まいへの影響 | 契約前の確認 |
|---|---|---|
| 予定どおり | 帰任と明渡しの時期が合わない可能性がある | 明渡し予定日と、室内確認・修繕の段取り |
| 前倒し | 契約期間中は自宅へ戻れない可能性がある | 貸主からの途中終了の可否と、仮住まいの確保方法 |
| 延長 | 満了後も自宅を使わない期間が生じる可能性がある | 再契約を検討する時期と、借入先への再確認 |
帰任予定が変わる見込みをいつ確認できるか、勤務先に尋ねます。確認時期も未定なら、その旨を管理会社に伝え、次に相談する時期を決めます。
定期借家の満了後も貸したい場合は、入居者へ再契約の意向を確認します。双方が希望する場合も、借入先の条件と新たな契約期間を確認して進めます。
早期帰任時の仮住まいも検討する
早く帰任する可能性があるなら、仮住まいの候補を調べます。家賃や引越しの見積もりを取り、自宅に戻るまでの支出を家族で確認します。
家族の通学先や勤務先までの移動経路も、候補ごとに確認します。仮住まいで暮らせる期間を家族で話し合い、契約期間の案と照らし合わせます。
鍵が返っても、室内の状態によってはすぐに生活を始められません。管理会社に室内確認と修繕・清掃の手配を依頼し、作業予定から再入居日を検討します。
03普通借家と定期借家の終了条件を比べる

普通借家の更新拒絶等の要件を確認する
普通借家では、期間が満了すれば必ず返してもらえるわけではありません。貸主からの更新拒絶や解約の申入れには、正当事由などの要件があります。
正当事由は、貸主と借主双方の建物を必要とする事情などから判断されます。帰任して自宅を使いたいという事情だけで、結論は決まりません。
これまでの契約経過や建物の利用状況・現況なども考慮されます。立退料の提示だけで終了できるとは限らないため、関連資料をそろえて専門家へ相談します。
更新拒絶等の正当事由は、[借地借家法第28条](https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090)を参照しています。通知の時期や契約条項を含む具体的な判断は、契約書を用意して弁護士等へ確認します。
帰任時の退去を定める特約案があれば、募集前に弁護士等へ効力を確認します。貸主の希望を伝えたことや借主の署名だけで、有効と判断しないようにします。
定期借家の満了と途中終了を分けて考える
定期借家は、法定の要件を満たせば更新がなく、期間満了で終了する契約です。ただし、満了による終了と、期間途中に貸主が終了させることは別の問題です。
中途解約条項がある場合は、誰が、どの条件で解約できる条項かを確認します。借主向けの条項を、貸主の帰任時にも使えると読み替えないようにします。
| 比較する点 | 普通借家 | 定期借家 |
|---|---|---|
| 期間満了 | 更新があり、貸主の更新拒絶には要件がある | 有効に成立すれば更新がなく満了で終了するが、必要な終了通知も確認する |
| 貸主の帰任 | 帰任だけで当然に終了するものではない | 帰任だけで期間途中に終了するものではない |
| 契約前の重点 | 更新・解約条項と法令上の要件 | 契約方式、事前説明、終了通知の管理 |
合意による終了を検討する場合は、入居者への打診方法を管理会社と相談します。合意できた条件は書面に残し、明渡し日や精算方法も確認します。
契約内容の記載と保管の基本は、賃貸借契約書の作成・保管で確認できます。帰任予定に関わる条項は、使用する契約書で該当箇所を確認します。
04定期借家の成立と終了を一緒に確認する

契約方式と契約前の説明を確認する
定期借家では期間を定め、書面または電磁的記録で契約します。契約書の名称だけで判断せず、更新がない旨の定めと事前説明の手順を確認します。
貸主は契約前に、契約書とは別の書面を借主へ交付して説明する必要があります。説明するのは、更新がなく期間満了で終了することです。
法定の事前説明をしなかった場合、更新がない旨の定めは無効になります。署名だけで済ませず、説明書面と契約締結前に説明する日程を確認します。
管理会社に説明を任せる場合は、代理して行う担当者と依頼内容を確認します。説明した日、使用した書面、交付・説明の実施記録を保管します。
説明書面を電子で提供する場合は、借主の承諾など法定の要件を確認します。契約の電子化とは別に、承諾・提供・説明の記録を保管する手順を決めます。
終了通知の要否・期限・担当を決める
期間が1年以上の定期借家では、満了の1年前から6か月前までに終了通知が必要です。期間満了で終了する旨を、その期間内に借主へ到達させるよう手配します。
期間内に通知しないと、満了による終了を借主に対抗できません。通知期間の経過後に通知した場合は、借主への到達から6か月経過後に終了を主張できます。
契約方式・事前説明・終了通知は、[借地借家法第38条](https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090)を参照しています。1年未満なら同条の終了通知は不要ですが、契約上の通知条項や明渡しの連絡は別途確認します。
| 管理する記録 | 契約時に決めること | 保管・確認する内容 |
|---|---|---|
| 事前説明 | 実施担当者と説明方法 | 説明書面、交付・説明の実施記録 |
| 終了通知の予定 | 通知の要否、通知期間、実施担当者 | 通知期間の始期・終期と発送予定日 |
| 終了通知の実施 | 送付方法と到達確認の担当者 | 通知の控え、発送・到達を確認できる記録 |
| 明渡し後の対応 | 室内確認と修繕手配の担当者 | 鍵の返却、室内の状態、再入居までの対応 |
通知予定と到達状況は、オーナーも確認できる一覧に記録します。郵便が返送された場合や到達を確認できない場合は、期限前に弁護士等へ対応を相談します。
管理会社が通知を代行するかは、委託する業務の内容によります。管理委託契約書の読み方を参考に、代行の範囲と報告方法を書面で確認します。
再契約を相談中でも、終了通知の期限を担当者と確認します。再契約がまとまらない場合に備え、通知の実施と再契約の協議を分けて記録します。
募集から引渡しまでの一般手順は家を貸す流れへ、転勤中の現地対応は遠方物件の管理へ進んでください。
05当社でできること・できないこと
できること
- 契約書と帰任予定をもとに確認事項を整理する
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)
できないこと
- 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
- 空室が必ず埋まると保証すること
- 帰任した日に必ず再入居できると保証すること
いまの管理で見落とされている点を、物件単位で確認できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。根拠法令:[民法](https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)、[借地借家法](https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090)。民法は個別契約を確認する法的基礎として参照し、住宅ローンの賃貸転用を一律に認める根拠とはしていません。借入先への確認、帰任シナリオの整理、担当と記録の管理は編集部の実務提案です。業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください