賃貸管理会社との契約
管理委託契約書の読み方
管理委託契約書は、頭書・条文・別紙を照合して読みます。業務や費用の記載が足りない箇所に印を付け、管理会社へ質問します。この記事の範囲は賃貸オーナー向けの契約確認で、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。
- 読む順番
頭書で物件・期間・業務をつかみ、お金と終了条件を先に確認します。その後、残りの頭書を読み、重要事項説明書と照合します。
- 手元にそろえるもの
- 重要事項説明書と管理委託契約書の案
- 契約書から参照されている業務一覧・料金表などの別紙
- 説明時のメモと、条件を変更した箇所が分かる資料
01頭書と条文の役割をつかむ

頭書は具体的な条件、条文は共通ルール
頭書は、契約書の冒頭にある物件や条件の記入欄です。条文は支払い方や業務の進め方などのルールを定めます。別紙を参照する欄は、その別紙まで開いて確認します。
以下の頭書番号・条番号は、国交省の「賃貸住宅標準管理受託契約書」の本文に基づきます。必須の書式ではなく、実際の契約では配置や内容が異なります。見出しと記載内容で対応を探してください。
| 読む場所 | 確認点 | 質問例 |
|---|---|---|
| 頭書・条文・別紙 | 業務や費用の参照先を開き、別紙名と適用する版を確認します。 | この別紙は契約の一部ですか。適用する版はどれですか。 |
| 空欄・対象外の表示 | 未記入か対象外かを質問し、対象外ならその旨を記入してもらいます。 | この空欄は、業務を委託しないという意味ですか。 |
管理会社の役割自体を確認したい場合は、賃貸管理会社とは何をする会社かをご覧ください。ここでは、依頼したい業務が頭書や別紙に記載されているかを確認します。
(1)物件・(2)期間を確認する
| 読む場所 | 確認点 | 質問例 |
|---|---|---|
| 頭書(1)・住戸明細表 | 建物名だけでなく、対象住戸・設備・附属施設の範囲を確認します。 | 駐車場や共用設備も、この契約の管理対象に含まれますか。 |
| 頭書(2)・第2条・第3条 | 開始日と終了日、更新の申出期限・方法、合意の要否を確認します。 | 更新には申出や合意が必要ですか。いつ、どの方法で行いますか。 |
対象物件に設備が記載されていても、その設備の作業をすべて委託したとは限りません。設備一覧と頭書(3)を並べ、点検や修繕手配など、依頼したい作業の記載を探します。
(3)業務の頻度・実施者・再委託先を聞く
| 読む場所 | 確認点 | 質問例 |
|---|---|---|
| 頭書(3)・第9条 | 清掃や点検の場所、作業内容、頻度が具体的かを見ます。 | 定期清掃は、どの場所をどの頻度で行いますか。 |
| 頭書(3)の修繕欄・別紙 | 受付、見積取得、手配など、委託する作業の範囲を確認します。 | 修繕対応には、工事の手配と完了確認まで含まれますか。 |
| 頭書(3)・第13条 | 実施者と再委託先を確認し、再委託後の管理会社の責任も読みます。 | 作業の不備があった場合、管理会社はどのように対応しますか。 |
02お金と終わり方を先に確認する

(4)報酬・(5)費用は計算と支払時期を聞く
報酬は料率や金額だけでなく、何を基準に計算するかを読みます。料金表の各項目を、報酬に含むものと別途負担するものに分けます。区別できない費用は、発生条件と支払時期を質問します。
| 読む場所 | 確認点 | 質問例 |
|---|---|---|
| 頭書(4)・第4条 | 計算対象、税の扱い、対象月、支払期限と方法を確認します。 | 共益費も計算対象ですか。未収分や空室分はどう扱いますか。 |
| 頭書(5)・第5条・料金別紙 | 別途費用の対象、負担者、明細の提示と支払時期を確認します。 | 報酬以外の費用は、どの条件で発生し、いつ請求されますか。 |
| 第4条第2項・終了時の精算条項 | 中途終了時の報酬について、履行済みの業務をどう計算に反映するか確認します。 | 終了月の報酬は、どの計算方法で精算しますか。 |
立替・緊急対応は承諾の要否を聞く
| 読む場所 | 確認点 | 質問例 |
|---|---|---|
| 第6条・頭書(11) | やむを得ない立替の承諾不要額と、その額を超える場合の事前協議を確認します。 | 承諾不要額は1件当たりですか。超える場合は誰に連絡しますか。 |
| 第11条 | 事前承認なしで着手できる条件、書面での事後通知、費用負担を確認します。 | 緊急対応の内容と費用額は、いつ、どの書面で通知されますか。 |
標準書式の第11条は、災害や事故等で緊急性があり、承認を受ける時間がない場合を扱います。費用は原則としてオーナー負担ですが、管理会社の責めによる事故等は例外です。
解約予告の期間・方法と精算・終了時の引渡し
| 読む場所 | 確認点 | 質問例 |
|---|---|---|
| 第20条・第21条 | 義務違反等による解除と、予告による解約の条件を分けて読みます。 | 今回確認しているのは、どの条項による終了方法ですか。 |
| 第21条・特約 | 予告期間、通知方法、通知先、予告に代わる支払いの有無を確認します。 | 文書の指定はありますか。メールでの申入れは認められますか。 |
| 第22条・精算に関する別紙 | 保管金と書類の引渡し、滞納状況の報告、未精算費用の扱いを確認します。 | 何をいつ引き渡し、最終精算の明細はいつ受け取れますか。 |
標準書式の予告月数は「○か月」の未確定欄です。実際の契約の予告期間から申入れ期限を逆算し、通知先と方法を控えます。違約金の有無とは別に、終了月の報酬や立替費用の精算も確認します。
変更を進める際の日程や手続は、管理会社を変更する手順で確認してください。引渡し期限が契約書に見当たらない場合は、管理会社へ質問して合意内容を残します。
03頭書の残りを順に読み切る

(6)家賃等の引渡し・(7)分別管理
| 読む場所 | 確認点 | 質問例 |
|---|---|---|
| 頭書(6)・第7条 | 家賃の対象月、送金期日、送金先を読み、報酬控除への事前承諾も確認します。 | 何月分をいつ送金し、どの合意に基づいて何を差し引きますか。 |
| 頭書(6)の敷金欄・第7条第1項 | 敷金の引渡し先と時期を確認します。標準書式では速やかな引渡しを定めています。 | 敷金の受領日と引渡し日は、どの資料で確認できますか。 |
| 頭書(7)・第10条 | 管理会社自身の財産や他のオーナーの金銭と区別する方法を確認します。 | 口座と帳簿でどのように区別し、残高を照合しますか。 |
送金明細の見本を受け取り、家賃の受領額と控除額から送金額を照合します。未収額や敷金残高が載っていない場合は、確認できる別の資料と、その受領方法を質問します。
(8)報告内容と頻度・(9)入居者への周知
| 読む場所 | 確認点 | 質問例 |
|---|---|---|
| 頭書(8)・第15条 | 報告の対象期間、内容、頻度、提出時期と方法を確認します。 | 家賃の状況と、点検・修繕・苦情対応の状況はそれぞれいつ分かりますか。 |
| 第15条・報告書の見本 | 定期報告以外の報告依頼や、関係書類の提示を求める方法を確認します。 | 作業記録や費用の明細を見たいときは、どこへ依頼しますか。 |
| 頭書(9)・第23条 | 締結時の管理会社による通知と、終了時の双方による通知の担当・方法を確認します。 | 入居者への通知文は誰が作成・送付し、オーナーは何を担当しますか。 |
業務報告書の見本と頭書(8)を並べ、点検や苦情対応の報告欄を探します。対応中の案件について、経過や次の対応予定が分からない場合は、記載を追加できるか相談します。
(10)管轄・(11)特約と条文の対応
| 読む場所 | 確認点 | 質問例 |
|---|---|---|
| 頭書(10)・第25条 | 契約に関する紛争の管轄裁判所名を確認し、所在地も調べます。 | この裁判所を定める理由と、変更を協議できるかを教えてください。 |
| 頭書(11)・第26条・関連条文 | 特約が追加する条件と、変更する条文を確認します。 | この特約は、本文のどの規定をどの範囲で変更しますか。 |
04重要事項説明と照合して質問する

登録業者の説明・書面交付の義務を知る
登録を受けた賃貸住宅管理業者には、原則として契約前の重要事項説明等の義務があります。締結時の書面交付とは別の手続です。説明を聞く際は、契約書案と別紙も手元に置きます。
| 読む場所 | 確認点 | 質問例 |
|---|---|---|
| 管理業法第13条・重要事項説明書 | 契約前に、業務内容や実施方法等の書面交付と説明を受けます。 | 説明された内容は、契約書のどこに記載されていますか。 |
| 管理業法第14条・締結時の書面 | 締結後、遅滞なく交付される書面に、合意した条件があるか確認します。 | 修正した別紙も、締結した書面と一緒に受け取れますか。 |
| 管理業法第15条・再委託欄 | 受託した管理業務の全部の再委託は禁止されています。再委託する範囲を確認します。 | 再委託する業務と、管理会社自身が行う業務はどれですか。 |
第13条は、委託者が賃貸住宅管理業者などの場合に適用除外があります。説明を省略すると言われたら、該当する理由を確認してください。第13条・第14条の書面は、相手方の承諾など所定の要件の下で電磁的方法により提供できます。
業務・報酬・解除条件の違いを質問する
| 読む場所 | 確認点 | 質問例 |
|---|---|---|
| 説明書と頭書(3)・業務別紙 | 説明された業務が、契約の対象として記載されているか確認します。 | 説明書にある作業が別紙にありません。契約に含まれますか。 |
| 説明書と頭書(4)(5) | 計算対象、別途費用、支払時期の違いを確認します。 | 説明時と計算対象が違います。どちらの条件で契約しますか。 |
| 説明書と解除・解約条項 | 終了できる条件、予告方法、終了時の負担を照合します。 | 説明で聞いた終了条件と、この条文の関係を教えてください。 |
質問には書類名・該当欄・条番号を添え、説明と異なる記載を引用します。回答を受けたら質問の横に記録し、未回答の項目には回答予定日を尋ねて書き込みます。
回答を別紙・特約などの書面に反映してもらう
回答で条件が具体化したら、頭書・別紙・特約のどこに反映するかを確認します。修正版は別紙名や更新日で識別し、旧版と分けて保存します。変更箇所と関連条文に矛盾がないか読み直します。
会社を比較する段階の確認項目は、賃貸管理会社の選び方にまとめています。比較時に受け取った回答も手元に置き、最終版から抜けている約束がないか確かめてください。
05当社でできること・できないこと
できること
- 管理委託契約の業務範囲・報酬・報告方法について、確認事項を整理する
- 当社では、3か月前予告・違約金なしで解約できます
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)
できないこと
- 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
- 空室が必ず埋まると保証すること
- 個別の契約条項の法的有効性を断定すること
いまの管理で見落とされている点を、物件単位で確認できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。頭書と条文の対応・標準書式の補足:[国土交通省「賃貸住宅標準管理受託契約書」](https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001416011.pdf),説明・書面交付・一括再委託禁止:[賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(第13〜15条)](https://laws.e-gov.go.jp/law/502AC0000000060),登録制度と業務上の義務に関する公式案内:[国土交通省「管理業法ポータル・制度解説」](https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/system_commentary.html),業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください