賃貸借契約書と管理会社
作成・保管・更新の分担
賃貸借契約書の作成を依頼する際は、条件の確認担当と書類の保管先も決めます。この記事は賃貸オーナー向けで、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。案文確認から期日確認まで、貸主と管理会社の分担を整理します。
- 結論
契約書の管理は、工程ごとに担当を決めます。貸主が確認する条件と回答する時点を分担表に記載し、締結後の保管先と期日確認の担当も決めます。
- 先に決めること
- 案文を作る担当、貸主の確認事項、締結手続きを進める担当
- 締結済み書類の保管先、貸主の閲覧方法、追加合意書の参照先
- 契約類型に応じた確認連絡、貸主判断、必要手続きの担当
- 確認の起点
業務の委託範囲は管理委託契約書で確認します。住戸ごとの条件や期日は、締結済みの賃貸借契約書と追加合意書を照合して確かめます。
01契約書の管理は工程ごとに担当を決めます

作成・確認・締結手続きの担当を分けます
管理会社に依頼できる事務は、管理委託契約の内容によります。案文作成から期日確認までの各工程について、契約書の業務一覧や特約と照合します。
締結手続きでは、書類を送る担当と契約を締結する立場を区別します。管理会社が貸主を代理する場合は、管理委託契約書や委任状で代理権の対象を確認します。
国交省の旧標準管理委託契約書は、契約関連事務の分担を検討する参考資料です。実際に締結した管理委託契約書と見比べ、委託した業務に印を付けます。
旧標準管理委託契約書は、賃貸借契約書自体のひな型ではありません。掲載された業務が、ご自身の管理委託契約にすべて含まれるとは限りません。
委託範囲の読み方は、管理委託契約書の読み方で確認できます。記載がない工程は管理会社に対応可否を確認し、合意した担当を分担表に記載します。
担当・確認資料・連絡時点を分担表に残します
次の表は、管理会社に事務を依頼する場合の分担例です。実際の委託範囲に合わせて担当者名と連絡先を補い、双方が参照できる場所に保存します。
| 工程 | 担当 | 確認資料 | 連絡時点 |
|---|---|---|---|
| 案文作成 | 委託範囲に応じて管理会社等 | 募集条件・合意内容の記録 | 案文を貸主へ送る時点 |
| 条件確認 | 貸主が確認し、作成担当へ回答 | 案文・設備一覧・変更の記録 | 締結手続きに回す前 |
| 締結手続き | 契約当事者または権限のある代理人と事務担当 | 貸主確認後の確定版・代理権を示す書類 | 手続き開始時と締結完了時 |
| 保管 | 合意した保管担当、貸主が閲覧確認 | 締結済み契約書・関連書類 | 締結後と追加合意の成立後 |
| 期日確認 | 委託範囲に応じて貸主または管理会社等 | 契約台帳・締結済み書類・法令 | 法令と契約に基づく期限から逆算した確認日 |
連絡時点は「必要に応じて」のままにせず、何を終えたら連絡するかを決めます。貸主の回答期限と、回答がない場合に再確認する担当も分担表に追記します。
02案文と募集時の合意条件を照合します

設備などの合意条件を貸主が確認します
案文の確認では、募集資料と申込み後のメールなどを集めます。募集時から変更した条件は、借主との合意が確認できる記録を添えて作成担当に渡します。
例えば、室内のエアコンを設備として扱うと合意した場合を考えます。契約案文と設備一覧を開き、設備としての記載や修繕負担の条件に食い違いがないか照合します。
口頭で伝えた条件は、内容をメールなどで相手に送り、認識が一致するか確認します。貸主の希望にとどまる条件は未合意と記載し、合意済みの条件と区別します。
| 確認するもの | 照合する内容 | 食い違いがある場合 |
|---|---|---|
| 募集資料と合意の記録 | 設備の扱いについて変更があったか | 変更内容と合意状況を確認します |
| 契約案文と設備一覧 | 同じ設備について記載が一致するか | 該当箇所を示して作成担当に戻します |
| 修正版と確認記録 | 依頼した修正が反映されたか | 未反映の箇所を示して再修正を依頼します |
修正依頼には、対象設備、案文の該当箇所、修正したい文言を記載します。根拠となる合意記録も添え、作成担当が変更内容を照合できるようにします。
修正後の確定版を締結担当へ渡します
修正が終わったら、貸主が確認したファイル名と確認日を回答に記載します。締結担当にはそのファイルを添付し、締結に使用する版であることを伝えます。
確認後に条件が変わった場合は、変更箇所を示して貸主に再確認を依頼します。締結担当へ差替えを連絡し、旧版で手続きを進めていないか確認します。
締結担当は、送付前に書類と貸主が確認した版を照合します。締結後は契約書と別紙の不足を確認し、保管担当へ書類一式を渡して受領の連絡を求めます。
募集から契約までの全体像は、家を貸す流れで確認できます。入居までの準備も確認したい場合は、同記事で手続きの順序を確かめます。
ここでの照合は、合意内容と書類の食い違いを確認する作業です。記載が一致していても、個別条項の法的有効性まで確認できるとは限りません。
03締結済み書類を住戸ごとにたどれるようにします

原本・電子契約データの保管先と閲覧方法を決めます
紙の契約書は、原本の保管者と保管場所を台帳に記録します。貸主が写しを受け取る場合は、別紙や設備一覧がそろい、文字が読める状態かを確認します。
電子契約では、締結済みデータの保存先と閲覧権限を確認します。サービス上で見る方法に加え、利用終了時にデータを受け取る方法も確かめます。
- 保管先:物件名・住戸・契約を識別できる情報を台帳に記載し、保存先を添えます。
- 閲覧方法:貸主が直接見るのか、担当者に写しを依頼するのかを決め、連絡先を記録します。
- 受渡し方法:担当交代や管理終了時に、誰がどの書類をどの形式で渡すかを決めます。
閲覧権限を設定した後は、貸主自身のアカウントで対象住戸の書類を開きます。表示できない書類があれば、保管担当に書類名を伝えて設定の確認を依頼します。
管理会社を変更するときは、保管台帳も引継ぎ資料に含めます。書類全般の受渡しは、管理変更時の引き継ぎ確認で確認できます。
追加合意書を元の契約書とひも付けます
契約後に設備の扱いを変更し、追加合意書を締結した場合を考えます。元の契約書と追加合意書を同じ住戸のフォルダーに保存し、台帳に両方の保存先を記載します。
元の契約書を修正したファイルで、締結済み書類を上書きしないようにします。元の契約書はそのまま残し、追加合意書は名称と締結日が分かる形で保存します。
台帳には、追加合意書の対象設備と変更の適用時点も記載します。修繕などの判断時は、台帳の要約だけでなく、元の契約書と追加合意書の該当箇所を読みます。
変更案のファイルだけでは、借主との合意の有無を確認できません。案文と締結済み書類を分け、未締結の場合は合意状況を確認する担当を台帳に記載します。
追加合意書の受渡し後は、保管担当が台帳の参照先から書類を開いて確認します。貸主への完了連絡にも保存先を添え、変更後の条件を確認できるようにします。
04契約類型に合わせて期日確認を分担します

普通借家と定期借家を台帳で区別します
締結済み書類を開き、契約類型と契約期間を台帳に記載します。名称だけで判断せず、更新の有無を定めた条項と関連書類の保存先も記録します。
普通借家では、一般に期間満了だけで契約が終了するとは限りません。貸主が更新拒絶を検討する場合は、通知の期限に加え、正当事由の要否も確認します。
定期借家では、更新しない旨の定めと、契約前の説明に関する書類・記録を確認します。契約書の形式も含めて要件を確認し、不明な点は弁護士などに照会します。
定期借家の終了通知は、契約期間に応じた法令上の要否と期限を確認します。通知が必要な場合は、満了日から逆算した通知期間と実施担当を台帳に記載します。
確認連絡・貸主判断・必要手続きの担当を決めます
管理会社から貸主への確認連絡と、借主への法令上の通知は別に記録します。貸主に予定を知らせた段階で、借主への通知まで完了扱いにしないようにします。
貸主への確認連絡には、対象住戸、判断を求める事項、回答期限を記載します。法令上の期限に間に合うよう、回答後の書類準備や送付に必要な時間も担当者と確認します。
| 確認の段階 | 決めておく担当 | 残す記録 |
|---|---|---|
| 期日と必要手続きの確認 | 法令と契約書を確認して貸主へ連絡する担当 | 根拠となる規定・契約条項・期限 |
| 貸主の判断 | 貸主と、その回答を受け取る担当 | 判断内容・回答日・未確認事項 |
| 通知や締結等の実施 | 権限と委託範囲を確認した実施担当 | 通知内容・送付や到達の記録・締結済み書類 |
| 完了後の台帳更新 | 保管先と次の確認日を登録する担当 | 更新した台帳・関連書類の参照先 |
回答待ちの案件は、台帳に未回答と表示し、再連絡する日を登録します。必要資料が不足している場合は、資料名と取得担当を記載して取り寄せを依頼します。
契約終了や条項の有効性に疑問がある場合は、契約書と通知記録をそろえます。弁護士などへの相談担当を決め、確認したい事項と手続きの期限を伝えます。
手続き後は、実施担当が通知の到達記録や締結済み書類を台帳に登録します。保管担当は参照先を開いて不足を確認し、次の確認日と担当者名を記載します。
05当社でできること・できないこと
できること
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)
できないこと
- 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
- 空室が必ず埋まると保証すること
- 個別の賃貸借契約の法的有効性を保証すること
いまの管理で見落とされている点を、物件単位で確認できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。国交省・旧賃貸住宅標準管理委託契約書:委託する契約関連事務を整理する参考資料。賃貸借契約書自体のひな型ではありません。,借地借家法:建物賃貸借の更新等と定期建物賃貸借に関する規定。,業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください