騒音苦情、大家はどう動く?
発生源不明時の記録と確認
発生源が分からない騒音苦情では、申告と確認済みの事実を分けて記録します。大家は管理会社に記録を渡し、確認場所と時間帯を相談します。この記事は賃貸オーナー向けで、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。
- 結論
管理会社には、申告記録に沿った現地確認と設備の照合を依頼します。発生源が分からない場合も、確認結果と追加確認の条件を報告してもらいます。
- 依頼前にそろえること
- 日時・継続時間・音の種類・聞こえた場所・繰り返しの有無
- 申告時間帯に近い訪問候補と、室内・共用部の確認場所
- 契約上の実施範囲、報告内容、追加確認を相談する条件
- 判断を急がないこと
聞こえる方向は、発生源を調べる手掛かりです。方向だけで原因の住戸を決めず、現地で聞こえなかった場合も、その訪問条件での結果として記録します。
01聞こえる方向と発生源を分けます

日時・継続時間・音の種類を記録します
最初の受付では、入居者の言葉を記録表の申告欄に残します。「上から響く」という申告を、上階の入居者が原因という確定情報には置き換えません。
日時は、苦情を受けた時刻と音を聞いた時刻を分けます。継続時間が曖昧なら「おおよそ」と記載します。分からない部分は推測で埋めず、「不明」と残します。
音の種類は「低い振動音」「物をたたくような音」など、聞こえ方で残します。生活音や設備音と推測する場合は、確認前の仮説であることを記載します。
| 項目 | 申告内容 | 確認済みの事実 |
|---|---|---|
| 日時・継続時間 | 聞こえ始めと終わり、分かる範囲の長さ | 現地で確認した日時と継続時間。未確認ならその旨 |
| 音の種類 | 低い振動音、物をたたくような音など | 担当者が実際に聞いた音の特徴 |
| 場所・方向 | 寝室で上から響くなど、聞いた位置と方向 | 確認できた場所。発生源の特定状況は別記 |
| 繰り返し | 連続か断続か、似た時間帯に起きるか | 訪問中に繰り返したか、設備の作動と重なったか |
聞こえた場所と繰り返しの有無を残します
聞こえた場所は、住戸内の部屋や位置まで確認します。寝室と廊下で聞こえ方が違う場合は、別々に残します。位置や方向を言葉で伝えにくければ、間取り図に印を付けてもらいます。
繰り返す音なら、前回と同じ特徴かを聞き取ります。「毎晩」という申告でも、分かる範囲で発生日を残してもらいます。記録できなかった日は、音がなかった日とは区別します。
録音がある場合は、録音日時と場所も一緒に受け取ります。録音だけで発生源が分かるとは限りません。現地で同じ種類の音かを照合する補助資料として使います。
苦情受付から入居者への案内までの一般的な対応は、騒音やゴミ出しのトラブルで扱います。ここでは、発生源が分からない段階の確認に絞ります。
以下の記録項目と再訪条件は、管理会社との相談に使う編集部の実務提案です。実施できる内容は契約や現地の状況に合わせて調整してください。
02管理会社へ現地確認を依頼します

申告時間帯と確認場所を共有します
管理会社には、整理した申告記録を添えて訪問を依頼します。「寝室で振動音が聞こえる」など、確認してほしい場所と音の特徴を依頼文に記載します。
音が集中する時間帯があれば、その時間帯に訪問できるか相談します。対応可能な時間帯は、管理会社との契約や体制によります。訪問候補が決まったら、入居者の在室予定を確認します。
- 申告記録を管理会社に渡します。
- 入居者の了承を得て、室内の確認場所と訪問日時を決めます。
- 共用部や設備周辺の確認場所を管理会社と決めます。
- 報告方法・報告予定日・追加調査の相談窓口を決めます。
室内確認ができない場合は、その旨を依頼文に記載します。共用廊下だけを確認する場合は、室内の聞こえ方は未確認と報告してもらうよう伝えます。
実施範囲と報告内容を契約で確かめます
国土交通省の標準書式には、業務内容・実施方法や定期報告を記載する欄があります。実際の依頼では、締結済みの契約書の該当欄と別紙・特約を確認します。
今回の訪問や調査が契約に含まれるか、管理会社に確認します。時間外の訪問や専門業者の調査は、別途の相談になる場合があります。追加費用の有無と承認手順は、着手前に回答をもらいます。
| 確認すること | 管理会社と決める内容 |
|---|---|
| 実施範囲 | 室内・共用部の確認、設備担当者への照会をどこまで行うか |
| 実施方法 | 訪問可能な時間帯、入室の調整方法、専門業者に調査を依頼する条件 |
| 報告 | 確認場所・時間・結果・未確認事項を、誰がいつ報告するか |
| 費用と承認 | 契約に含まれる業務と追加業務の区分、見積もりと承認の手順 |
契約全般の確認は、管理委託契約書の読み方を参照してください。契約書だけでは今回の確認範囲が分からない場合は、管理会社に依頼内容を書面で示して回答を求めます。
連絡の担当が曖昧なら、入居者からの連絡への対応範囲も確認します。再申告の受付窓口を入居者に案内し、貸主への報告担当も決めておきます。
03建物設備の作動と音を照合します

ポンプ・換気設備・共用扉を確認します
発生源が不明な段階では、建物設備も確認候補に含めます。管理会社に設備一覧や点検記録を確認してもらい、設置されている設備から調べる対象を選びます。
低い振動音が繰り返す場合は、給水設備の運転状況も確認候補にします。運転記録があれば申告時刻と比べ、現地では作動中の音を確認します。記録がない時間帯は未確認と残します。
| 設備 | 申告時間 | 作動状況 | 音との一致 |
|---|---|---|---|
| 給水ポンプ | 低い振動音が出た時間帯 | 運転・停止の状態と確認時刻 | 運転と音の始まり・終わりが重なるか |
| 換気設備 | うなり音などを聞いた時間帯 | 稼働状況と確認できた場所 | 作動中に同種の音が聞こえるか |
| 共用扉 | 衝撃音を聞いた時間帯 | 開閉時の状態と点検結果 | 閉まる動きと申告された音が対応するか |
作動と音が重なった場合は、入居者が申告した音と同じかを聞こえた場所で照合します。設備の操作が必要なら、管理会社から担当業者へ依頼し、操作内容と確認結果を残します。
設備不具合が確認されたら修繕を検討します
設備に不具合が見つかったら、箇所・状態・音との関係を報告してもらいます。原因が未確定なら、その旨も記載してもらいます。修繕見積もりには、対象範囲と作業内容を示してもらいます。
民法第606条第1項は、貸主に使用・収益に必要な修繕義務を定めています。ただし、借主の責めに帰すべき事由で修繕が必要になった場合は例外です。
不具合による使用上の支障と発生原因を、点検報告で確認します。修繕の必要性や負担に争いがあれば、契約書と報告書を弁護士などに示して相談します。
修繕を実施したら、作業報告を受け取り、申告された音が変わったかを入居者に確認します。日常の点検計画は、賃貸物件の巡回・点検頻度を参照してください。
設備の点検報告と騒音の確認記録は、日付と設備名で照合できるように保管します。修繕した場合は、作業報告も関連付けて残します。
04再現しなくても次の確認条件を残します

確認場所・時間・設備の状態を報告に残します
現地で音が聞こえなかった場合も、訪問結果を残します。報告が「異常なし」だけなら、確認した場所と時間、設備の状態を追記してもらいます。
報告には、確認の開始・終了時刻と、設備が動いていたかを記載してもらいます。入室できた場所とできなかった場所も分け、次回に確認する場所を選びます。
昼間の訪問で再現しなかった場合は、夜間の申告とは時間帯が違うことを明記します。結果欄には「訪問中は申告された音を確認できなかった」と記載してもらいます。
別の音が聞こえた場合は、その特徴も独立して記録します。入居者に申告した音と同じかを確認し、回答を残します。照合できていない場合は、その旨を報告に記載してもらいます。
再申告の記録方法と再訪条件を決めます
再申告では、最初の記録表と同じ項目を使います。入居者に無理のない範囲で、発生日時や場所を追記してもらいます。前回から変わった点も管理会社へ共有します。
| 次に得られた情報 | 相談する追加確認 |
|---|---|
| 発生する時間帯が絞れた | その時間帯に訪問できるか調整する |
| 特定の設備作動と重なる申告が続く | 設備担当者の確認と、聞こえた場所での照合を相談する |
| 前回は室内を確認できなかった | 入居者の了承を得て、室内確認の日程を調整する |
| 音の種類や聞こえる場所が変わった | 過去の申告と分けて整理し、確認場所を見直す |
再訪条件は、管理会社が実施できる内容を確認して決めます。夜間訪問が難しければ、記録の追加や設備担当者への照会を相談します。合意した条件と連絡担当をメールなどに残します。
追加確認の予定が決まらない場合は、日程待ちか情報待ちかを報告に記載してもらいます。不足する情報を誰が確認するかと、進捗を報告する時期も決めます。
05当社でできること・できないこと
できること
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)
できないこと
- 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
- 空室が必ず埋まると保証すること
- 聞こえる方向だけで発生源の住戸を確定すること
入居者対応も含めて、管理上の不安を整理できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。参照:賃貸住宅標準管理受託契約書(業務内容・実施方法・報告・入居者対応の整理)、民法第606条第1項(使用・収益に必要な修繕義務と例外)。記録項目と再訪条件は編集部の実務提案であり、公的な騒音判定基準ではありません。業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください