オーナーズガイド›入居者と建物›発生源不明の騒音苦情への対応
GUIDE / 入居者と建物のこと

騒音苦情、大家はどう動く?
発生源不明時の記録と確認

公開日:2026年11月04日 更新日:2026年11月04日 Lincloud Owners 編集部(宅地建物取引士)

発生源が分からない騒音苦情では、申告と確認済みの事実を分けて記録します。大家は管理会社に記録を渡し、確認場所と時間帯を相談します。この記事は賃貸オーナー向けで、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。

この記事の結論
結論

管理会社には、申告記録に沿った現地確認と設備の照合を依頼します。発生源が分からない場合も、確認結果と追加確認の条件を報告してもらいます。

依頼前にそろえること
  • 日時・継続時間・音の種類・聞こえた場所・繰り返しの有無
  • 申告時間帯に近い訪問候補と、室内・共用部の確認場所
  • 契約上の実施範囲、報告内容、追加確認を相談する条件
判断を急がないこと

聞こえる方向は、発生源を調べる手掛かりです。方向だけで原因の住戸を決めず、現地で聞こえなかった場合も、その訪問条件での結果として記録します。

01聞こえる方向と発生源を分けます

音の聞こえる方向と発生源の推測を分けた間取り図

日時・継続時間・音の種類を記録します

最初の受付では、入居者の言葉を記録表の申告欄に残します。「上から響く」という申告を、上階の入居者が原因という確定情報には置き換えません。

日時は、苦情を受けた時刻と音を聞いた時刻を分けます。継続時間が曖昧なら「おおよそ」と記載します。分からない部分は推測で埋めず、「不明」と残します。

音の種類は「低い振動音」「物をたたくような音」など、聞こえ方で残します。生活音や設備音と推測する場合は、確認前の仮説であることを記載します。

項目申告内容確認済みの事実
日時・継続時間聞こえ始めと終わり、分かる範囲の長さ現地で確認した日時と継続時間。未確認ならその旨
音の種類低い振動音、物をたたくような音など担当者が実際に聞いた音の特徴
場所・方向寝室で上から響くなど、聞いた位置と方向確認できた場所。発生源の特定状況は別記
繰り返し連続か断続か、似た時間帯に起きるか訪問中に繰り返したか、設備の作動と重なったか

聞こえた場所と繰り返しの有無を残します

聞こえた場所は、住戸内の部屋や位置まで確認します。寝室と廊下で聞こえ方が違う場合は、別々に残します。位置や方向を言葉で伝えにくければ、間取り図に印を付けてもらいます。

繰り返す音なら、前回と同じ特徴かを聞き取ります。「毎晩」という申告でも、分かる範囲で発生日を残してもらいます。記録できなかった日は、音がなかった日とは区別します。

録音がある場合は、録音日時と場所も一緒に受け取ります。録音だけで発生源が分かるとは限りません。現地で同じ種類の音かを照合する補助資料として使います。

苦情受付から入居者への案内までの一般的な対応は、騒音やゴミ出しのトラブルで扱います。ここでは、発生源が分からない段階の確認に絞ります。

以下の記録項目と再訪条件は、管理会社との相談に使う編集部の実務提案です。実施できる内容は契約や現地の状況に合わせて調整してください。

02管理会社へ現地確認を依頼します

申告時間帯に合わせた現地確認の予定と依頼項目

申告時間帯と確認場所を共有します

管理会社には、整理した申告記録を添えて訪問を依頼します。「寝室で振動音が聞こえる」など、確認してほしい場所と音の特徴を依頼文に記載します。

音が集中する時間帯があれば、その時間帯に訪問できるか相談します。対応可能な時間帯は、管理会社との契約や体制によります。訪問候補が決まったら、入居者の在室予定を確認します。

  1. 申告記録を管理会社に渡します。
  2. 入居者の了承を得て、室内の確認場所と訪問日時を決めます。
  3. 共用部や設備周辺の確認場所を管理会社と決めます。
  4. 報告方法・報告予定日・追加調査の相談窓口を決めます。

室内確認ができない場合は、その旨を依頼文に記載します。共用廊下だけを確認する場合は、室内の聞こえ方は未確認と報告してもらうよう伝えます。

実施範囲と報告内容を契約で確かめます

国土交通省の標準書式には、業務内容・実施方法や定期報告を記載する欄があります。実際の依頼では、締結済みの契約書の該当欄と別紙・特約を確認します。

今回の訪問や調査が契約に含まれるか、管理会社に確認します。時間外の訪問や専門業者の調査は、別途の相談になる場合があります。追加費用の有無と承認手順は、着手前に回答をもらいます。

確認すること管理会社と決める内容
実施範囲室内・共用部の確認、設備担当者への照会をどこまで行うか
実施方法訪問可能な時間帯、入室の調整方法、専門業者に調査を依頼する条件
報告確認場所・時間・結果・未確認事項を、誰がいつ報告するか
費用と承認契約に含まれる業務と追加業務の区分、見積もりと承認の手順

契約全般の確認は、管理委託契約書の読み方を参照してください。契約書だけでは今回の確認範囲が分からない場合は、管理会社に依頼内容を書面で示して回答を求めます。

連絡の担当が曖昧なら、入居者からの連絡への対応範囲も確認します。再申告の受付窓口を入居者に案内し、貸主への報告担当も決めておきます。

03建物設備の作動と音を照合します

音との関係を調べる給水ポンプと換気設備と共用扉

ポンプ・換気設備・共用扉を確認します

発生源が不明な段階では、建物設備も確認候補に含めます。管理会社に設備一覧や点検記録を確認してもらい、設置されている設備から調べる対象を選びます。

低い振動音が繰り返す場合は、給水設備の運転状況も確認候補にします。運転記録があれば申告時刻と比べ、現地では作動中の音を確認します。記録がない時間帯は未確認と残します。

設備申告時間作動状況音との一致
給水ポンプ低い振動音が出た時間帯運転・停止の状態と確認時刻運転と音の始まり・終わりが重なるか
換気設備うなり音などを聞いた時間帯稼働状況と確認できた場所作動中に同種の音が聞こえるか
共用扉衝撃音を聞いた時間帯開閉時の状態と点検結果閉まる動きと申告された音が対応するか

作動と音が重なった場合は、入居者が申告した音と同じかを聞こえた場所で照合します。設備の操作が必要なら、管理会社から担当業者へ依頼し、操作内容と確認結果を残します。

設備不具合が確認されたら修繕を検討します

設備に不具合が見つかったら、箇所・状態・音との関係を報告してもらいます。原因が未確定なら、その旨も記載してもらいます。修繕見積もりには、対象範囲と作業内容を示してもらいます。

民法第606条第1項は、貸主に使用・収益に必要な修繕義務を定めています。ただし、借主の責めに帰すべき事由で修繕が必要になった場合は例外です。

不具合による使用上の支障と発生原因を、点検報告で確認します。修繕の必要性や負担に争いがあれば、契約書と報告書を弁護士などに示して相談します。

修繕を実施したら、作業報告を受け取り、申告された音が変わったかを入居者に確認します。日常の点検計画は、賃貸物件の巡回・点検頻度を参照してください。

設備の点検報告と騒音の確認記録は、日付と設備名で照合できるように保管します。修繕した場合は、作業報告も関連付けて残します。

騒音苦情があっただけで、貸主の修繕義務が決まるわけではありません。また、設備に異常が見つからなくても、それだけで生活音が原因とは判断せず、未確認の候補を管理会社と見直します。

04再現しなくても次の確認条件を残します

現地で音が再現しなかった結果と再訪条件の記録

確認場所・時間・設備の状態を報告に残します

現地で音が聞こえなかった場合も、訪問結果を残します。報告が「異常なし」だけなら、確認した場所と時間、設備の状態を追記してもらいます。

報告には、確認の開始・終了時刻と、設備が動いていたかを記載してもらいます。入室できた場所とできなかった場所も分け、次回に確認する場所を選びます。

昼間の訪問で再現しなかった場合は、夜間の申告とは時間帯が違うことを明記します。結果欄には「訪問中は申告された音を確認できなかった」と記載してもらいます。

別の音が聞こえた場合は、その特徴も独立して記録します。入居者に申告した音と同じかを確認し、回答を残します。照合できていない場合は、その旨を報告に記載してもらいます。

再申告の記録方法と再訪条件を決めます

再申告では、最初の記録表と同じ項目を使います。入居者に無理のない範囲で、発生日時や場所を追記してもらいます。前回から変わった点も管理会社へ共有します。

次に得られた情報相談する追加確認
発生する時間帯が絞れたその時間帯に訪問できるか調整する
特定の設備作動と重なる申告が続く設備担当者の確認と、聞こえた場所での照合を相談する
前回は室内を確認できなかった入居者の了承を得て、室内確認の日程を調整する
音の種類や聞こえる場所が変わった過去の申告と分けて整理し、確認場所を見直す

再訪条件は、管理会社が実施できる内容を確認して決めます。夜間訪問が難しければ、記録の追加や設備担当者への照会を相談します。合意した条件と連絡担当をメールなどに残します。

追加確認の予定が決まらない場合は、日程待ちか情報待ちかを報告に記載してもらいます。不足する情報を誰が確認するかと、進捗を報告する時期も決めます。

貸主は報告を受け取ったら、申告・確認済みの事実・未確認事項が分かれているか確認します。不足があれば追記を依頼し、次の確認条件と担当を管理会社と決めてください。

05当社でできること・できないこと

できること

  • 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)

できないこと

  • 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
  • 空室が必ず埋まると保証すること
  • 聞こえる方向だけで発生源の住戸を確定すること
実際にお渡ししているレポートを、そのまま公開しています
架空の物件でお作りしたものを、原寸で全部お見せしています。空室の損失、賃料の位置、修繕の回収期間、売却の目安まで、A3一枚に入っています。

入居者対応も含めて、管理上の不安を整理できます

お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。

LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。
この記事について
参照:賃貸住宅標準管理受託契約書(業務内容・実施方法・報告・入居者対応の整理)、民法第606条第1項(使用・収益に必要な修繕義務と例外)。記録項目と再訪条件は編集部の実務提案であり、公的な騒音判定基準ではありません。業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください