賃貸巡回管理とは
点検・頻度・報告の決め方
賃貸巡回管理は、一般に管理会社が現地を訪れ、契約範囲の建物や設備の状態を確認する業務です。依頼時には、確認する場所と異常発見後の対応を書面に残します。この記事は賃貸オーナー向けに巡回の点検・頻度・報告を扱い、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。
- 結論
巡回を依頼する際は、対象・確認方法・頻度・報告後の対応を書面に残します。契約書に記載がなければ、管理会社に具体案の提示を依頼します。
- 依頼前にそろえること
- 共用廊下・階段・外周など、確認する場所を記した図面や写真
- 建物の傷みや過去の不具合、修繕内容が分かる記録
- 現在の管理委託契約書と巡回報告書の見本
- 報告を受けた後
発見した異常について、担当と次の対応予定を確認します。承認を求められた事項には回答を返し、未解決の事項は次の報告でも経過を確かめます。
01巡回管理で確認する範囲を決めます

巡回の対象と確認方法をすり合わせます
「巡回あり」と書かれていても、確認する場所や方法は契約によります。配置図や現地写真に確認箇所を記し、管理会社に巡回経路を示してもらいます。
共用廊下や階段、外周などについて、どこから何を見るかを確認します。施錠された場所も対象なら、鍵の手配担当と、入れなかった場合の再確認方法を決めます。
国交省の標準管理受託契約書には、実施箇所や内容・頻度を記載する欄があります。手元の契約書と照らし合わせ、巡回に含まれる作業や対象外の箇所を確認します。
巡回を含む管理業務全体の整理は、賃貸管理会社の仕事内容で確認できます。業務の分担に迷う場合は、契約書の業務一覧と照らし合わせてください。
目視確認と専門調査の境界を決めます
通常の巡回で見える範囲と、専門業者による調査が必要な範囲を分けます。例えば外壁の染みは記録できても、見た目だけで漏水の原因や内部の状態まで判断できるとは限りません。
高所や隠れた部分など、確認できない箇所も記録してもらいます。「異常なし」と「未確認」を分け、未確認の理由と追加調査の要否を報告書で確かめます。
対象外の確認を追加したいときは、実施内容と費用負担を管理会社に確認します。変更の記録方法は、管理委託契約書の読み方を参照してください。
以下の点検項目や写真記録は、依頼内容を具体化するための実務提案です。すべての物件に共通する法定の巡回項目を示すものではありません。
02場所ごとに点検項目と異常の目安を決めます

共用廊下・階段・外周の確認項目を整理します
「共用部を見る」という記載だけでは、確認内容を判断しにくくなります。次の表をたたき台に、物件にある設備と過去の不具合に合わせて項目を加除します。
| 場所 | 確認項目 | 報告する状態 |
|---|---|---|
| 共用廊下 | 照明の点灯状態、床や壁の目視できる破損 | 点灯する条件での不点灯、床材の浮きや欠け、壁の新たな破損 |
| 階段 | 照明、段差部分や手すりの外観 | 不点灯、段鼻の欠損、手すりの変形や外れが見える状態 |
| 外周 | 地上から見える外壁や配管周辺の状態 | 新たな染み、漏水跡、部材の破損や落下が疑われる状態 |
照明は、昼間に消えているだけでは不点灯と判断できません。タイマーやセンサーなどの点灯条件を踏まえ、巡回時にどの方法で確認するかを相談します。
巡回時間帯では照明を確認できない場合、別の時間帯で確認できるか相談します。点灯操作が必要なら、操作できる担当者と、確認後に設定を戻す手順も決めます。
異常を見つけたら報告する基準を共有します
報告対象は、原因が判明した不具合だけに限定しないようにします。漏水かどうか不明な染みでも、新たに現れた場合や以前より広がった場合は知らせてもらいます。
過去の写真と比較できる場所は、同じ位置や向きから撮影してもらいます。比較写真がない場合は、発見時の状態と、発生時期が不明であることを記載してもらいます。
| 見つかった状態 | 報告と次の確認の例 |
|---|---|
| 通行への危険が疑われる破損 | 通常の報告を待たず連絡し、安全確保の要否と担当を確認します。 |
| 漏水や落下につながる可能性がある兆候 | 写真と場所を共有し、専門調査の要否を相談します。 |
| 直ちに危険とは判断できない変化 | 継続確認する場所と、次に報告する変化の目安を決めます。 |
03巡回頻度は建物の状態と目的から決めます

建物の状況と過去の不具合を整理します
巡回頻度は、建物の状態や確認の目的を管理会社に伝えて協議します。確認したい変化と場所を挙げ、それに応じた実施間隔を提案してもらいます。
築年数に加え、修繕後の状態や不具合の再発状況も伝えます。同じ場所で照明の不点灯を繰り返す場合は、回数の変更だけでなく、原因調査の要否も相談します。
- 建物の状況:傷みが見える場所や、通行への影響が大きい箇所を写真で示します。
- 過去の不具合:発生場所、修繕内容、再発の有無が分かる記録を渡します。
- 確認の目的:変化の観察か、修繕後の再発確認かを項目ごとに記載します。
頻度を増やす前に、現在の巡回報告で目的の場所が確認されているかを確かめます。記録がなければ、確認経路や時間帯を変える必要があるか管理会社に尋ねます。
定期巡回と臨時確認の条件を協議します
定期巡回では、同じ場所の変化を継続して確認できるよう日程を決めます。大雨など特定の出来事に伴う臨時確認は、実施条件と依頼方法を別に協議します。
雨漏り履歴がある建物なら、大雨後に以前の発生箇所を確認できるか相談します。これは契約で取り決める例であり、通常の巡回に自動で含まれるとは限りません。
| 協議すること | 決めておく内容 |
|---|---|
| 確認を始める条件 | 気象情報や漏水の連絡など、何を受けて実施を判断するか |
| 依頼と実施の担当 | オーナーの依頼が必要か、管理会社の判断で手配できるか |
| 対象と実施時期 | どの場所を、安全に立ち入れるどの段階で確認するか |
| 実施できない場合 | 未実施の理由、代わりの確認方法、再調整の連絡方法 |
臨時確認を依頼する際は、契約内の業務か、追加費用が発生するかを確認します。実施日が決まらない場合も、日程の見通しをいつ連絡してもらうか取り決めます。
04異常の報告を次の対応につなげます

確認日・場所・写真・緊急度を記録します
巡回報告には、確認日と場所、確認した状態を残してもらいます。写真には撮影日と対象箇所を添え、全体の位置関係と異常部分が分かる撮り方を依頼します。
緊急度は、評価の言葉だけでなく、その理由も記載してもらいます。「階段が暗く足元を確認しにくい」など、利用への影響を報告書で確かめます。
巡回の実施日と報告書の提出期限は分けて決めます。危険が疑われる異常については、電話などの連絡方法と、オーナーにつながらない場合の連絡先も指定します。
賃貸住宅管理業法には、維持保全を含む管理業務の定義と委託者への定期報告の規定があります。同法が巡回ごとの写真提出や一律の巡回回数を定めているわけではありません。具体的な記録方法は契約で確認します。
巡回報告の提出方法は、管理報告書に添付するのか、別途送付するのかを決めます。報告書全体の確認項目は、管理報告書の見方を参照してください。
対応担当・承認待ち・未対応事項を追います
修繕の手配に承認が必要かは、契約書の業務範囲や緊急時の条項を確認します。承認を待てない場合の実施権限と、実施後に報告する内容・費用も確かめます。
| 段階 | 記録してもらう内容 | オーナーが確認すること |
|---|---|---|
| 発見 | 確認日、照明の位置、点灯条件、写真、緊急度 | 影響と、追加確認や応急対応の要否 |
| 対応の検討 | 交換や調査の提案、担当、承認が必要な事項 | 承認する内容と費用、回答する期限 |
| 手配・作業 | 承認待ち・手配中などの状況、作業予定 | 予定変更の有無と、次の連絡予定 |
| 完了確認 | 実施日、作業内容、作業後の点灯確認結果 | 不点灯が解消したか、追加対応が残っていないか |
未対応事項は、場所と発見日で識別し、次の報告へ引き継いでもらいます。担当、対応が止まっている理由、次の作業予定を記載し、承認待ちの事項も区別してもらいます。
経過観察とする場合は、その理由と次の確認予定を記録してもらいます。染みの拡大など、どの変化があれば再調査を検討するかも管理会社と決めます。
予定した報告が届かない場合は、実施日と提出予定日を管理会社に尋ねます。詳しい確認手順は、管理会社から報告が来ないときの確認事項を参照してください。
05当社でできること・できないこと
できること
- 物件の状況に合わせた巡回の対象・確認項目・頻度を相談する
- 異常の報告方法と、承認待ち・未対応事項の確認方法を相談する
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)
できないこと
- 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
- 空室が必ず埋まると保証すること
- 巡回だけで建物の不具合をすべて発見すること
いまの管理で見落とされている点を、物件単位で確認できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。業務の対象・内容・頻度は頭書の業務内容欄、報告は定期報告欄と報告条項を確認しています。[国土交通省「賃貸住宅標準管理受託契約書」](https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001416011.pdf)。維持保全を含む管理業務の定義と委託者への定期報告の根拠は、[賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律](https://laws.e-gov.go.jp/law/502AC0000000060)です。具体的な巡回項目・頻度の設定、写真記録、臨時確認と未対応事項の管理は実務上の提案です。業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください