賃貸管理の一部委託
任せる仕事と残す仕事の決め方
賃貸管理は、募集や集金など一部だけを委託できる場合があります。委託する仕事と自分に残す仕事を分担表へ記入します。この記事の範囲は賃貸オーナー向けの一部委託で、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。
- 結論
一部委託では、業務名だけでなく、受付から完了までの担当を決めます。次の担当へ何を、いつ、どの方法で渡すかを契約書や合意した別紙に残します。
- 先に埋めたい担当
- 募集・集金・入居者対応のうち、委託先と自分が受け持つ仕事
- 更新案内・退去立会い・精算・未入金確認と督促の担当
- 夜間の受付、連絡がつかない場合の判断、完了報告の担当
- 報告の確認
金銭管理だけの委託と、維持保全を含む管理では、法律上の扱いが異なります。受託する業務を一覧で確認し、報告内容と頻度を契約書へ記入します。
01一部委託で任せたい仕事を分ける

募集だけを任せる場合
募集のみ委託する場合は、入居者を探す仕事の終点を確認します。広告・内見・申込みの取次ぎ・契約手続の各項目に、委託する範囲を記入します。
募集条件を承認する担当と、入居開始後の問い合わせ先を決めます。募集を担当する会社に管理も頼む場合は、管理の受託範囲と開始日を別途確認します。
集金だけを任せる場合
集金代行では、入金の照合からオーナーへの送金までの作業を確認します。送金日や控除する費用、入金明細の提出方法を、契約書の該当欄で確かめます。
明細の見本を取り寄せ、対象月や部屋ごとの入金を確認できるか見ます。収納業務の詳しい確認は、家賃管理を委託するときの確認事項を参照します。
入居者対応だけを任せる場合
入居者対応では、相談の受付と、現地確認や修理の手配を分けて記入します。受付だけを任せる場合は、委託先から連絡を受けて対応を判断する担当も決めます。
次の表は分担を相談するための例です。自分が残す仕事も記入し、実際に対応できる時間や連絡手段と照らし合わせて調整します。
| 業務 | 委託先 | 自分 | 引渡し条件 |
|---|---|---|---|
| 募集 | 広告・内見・申込みの取次ぎ | 募集条件と申込み内容の確認 | 条件変更や申込みがあれば資料を共有 |
| 集金 | 入金照合・送金・明細作成 | 明細確認・未入金後の対応 | 合意した締め日に明細と未入金情報を共有 |
| 入居者対応 | 相談受付・状況の聞き取り | 対応方針の判断・必要な発注 | 判断に必要な状況と緊急性を添えて連絡 |
業務全体は、賃貸管理会社の役割と仕事で確認します。清掃や点検など、上の表に載っていない仕事も書き足し、担当欄を埋めます。
自主管理と委託を併用する場合は、開始前に渡す資料と引継ぎ先を決めます。準備する内容は、自主管理から委託へ移るときの確認事項で確かめます。
02受付・判断・発注の境目を書面にする

故障の受付と修繕発注を分ける
例えば「受付は委託・発注はオーナー」と決める場合です。受付担当から状況が届いた後、オーナーが修理の要否を判断し、修理業者へ依頼する流れを定めます。
受付票の見本を取り寄せ、修理の判断に必要な情報があるか確認します。設備の種類や症状、写真、入室可能な時間など、不足する項目は追加を相談します。
| 段階 | 担当の例 | 次へ渡す情報・完了の条件 |
|---|---|---|
| 受付 | 委託先 | 症状・発生状況・連絡先を記録してオーナーへ送る |
| 判断 | オーナー | 修理方針と見積り取得の要否を関係者へ伝える |
| 発注・日程調整 | オーナー | 依頼先・作業内容・入室日程を受付担当にも共有する |
| 完了確認 | オーナー | 作業結果を確認し、委託先へ受付記録の更新を依頼する |
入居者に経過を伝える担当と、連絡する時点も表に加えます。部品待ちや再訪問がある場合は、次の予定を誰が確認して伝えるかまで記入します。
国交省の標準管理受託契約書の頭書(3)には、業務ごとに「乙」「委託」「委託先」の欄があります。「委託」は受託者から第三者への再委託を示します。上の表は、オーナーと受託者の分担を別途整理する実務例です。
夜間の窓口と連絡がつかない場合を決める
昼間の受付を委託しても、夜間の対応まで含むとは限りません。受付時間外の連絡先と、受け付けた後に誰へ連絡するかを、通常時と分けて記載します。
- 連絡先:通常時と時間外の窓口、オーナー不在時の代替連絡先を決めます。
- 引渡し条件:緊急性の判断方法と、返答がない場合の再連絡先を決めます。
- 承認の範囲:事前承認なしで行える応急措置と費用の扱いを合意します。
- 完了報告:作業内容、費用、残る対応を誰へ報告するか決めます。
合意した分担表を契約書の別紙にする場合は、本文から参照できる形にします。管理委託契約書の読み方を参照し、本文や特約と担当・権限が食い違わないか確認します。
03更新・退去・滞納の担当を埋める

更新案内と退去立会い・精算を確認する
更新や退去も分担表に追加し、毎月の集金とは別に担当を記入します。契約期限を確認する人と、入居者への案内を始める人を決めます。
退去では、解約の受付と立会い、精算を別の仕事として扱います。立会いを頼めても、費用負担の説明や敷金の返還まで含むとは限りません。
| 業務 | 担当の例 | 連絡の起点・引渡し条件 |
|---|---|---|
| 更新案内 | オーナーが期限管理、委託先が案内 | 期限一覧を基に案内開始を依頼する |
| 解約受付 | 委託先が受付、オーナーが確認 | 通知内容と受領日を共有する |
| 退去立会い | 合意した委託先 | 退去予定の共有後に日程を調整する |
| 退去精算 | オーナーが内容確認、合意した担当が説明 | 立会い記録と費用資料を引き渡す |
| 未入金確認 | 集金の委託先 | 入金照合後に未入金情報を送る |
| 支払いの案内・督促 | 契約で定めた担当 | 未入金情報を受け、対応結果を共有する |
表の担当は例なので、契約に合わせて具体的な窓口へ置き換えます。「双方で対応」とだけ書かず、最初に連絡する人と、次に判断する人を明記します。
解約の連絡がオーナーへ直接届いた場合の転送先も決めます。受領日と通知内容を受付担当へ共有し、立会いの日程調整をどちらが始めるか確認します。
集金後の未入金確認と督促を分ける
支払いの案内・督促を任せる場合は、連絡方法と対応記録の共有先を決めます。支払い条件の変更を求められた場合に、誰へ判断を戻すかも書き添えます。
未入金情報には、対象の家賃月や確認時点を添えるよう依頼します。連絡後に入金があった場合も共有し、古い情報で支払いを求め続けないようにします。
保証会社を利用している場合は、保証契約の通知期限と請求担当を確認します。対応手順は、家賃滞納が分かったときの対応手順を参照します。
04委託先の立場と報告条件を確かめる

金銭管理だけの場合と管理業法の関係
賃貸住宅管理業法第2条第2項は、維持保全と、それと併せて行う金銭管理を管理業務と定めています。維持保全には、点検や清掃など、住宅の状態を維持する業務が含まれます。
金銭管理のみの業務は、同項の管理業務には該当しません。契約書の名称だけで判断せず、受託する作業に点検・清掃や修繕の手配などが含まれるか確認します。
金銭管理のみの受託業務は、同法の定期報告義務の対象外です。ただし、契約で報告を約束している場合は、その内容に従います。報告条項の有無と内容を確認します。
登録の有無と契約上の報告を確認する
国交省の制度解説では、登録制度と登録業者の定期報告義務が示されています。登録が任意となる場合もあるため、未登録ならその理由と受託範囲を委託先に確認します。
契約する法人名と、管理業の登録名義が一致するか確認します。募集の媒介も依頼する場合は、媒介を行う事業者名と宅地建物取引業の免許も別に確認します。
| 確認項目 | 契約前にそろえる内容 |
|---|---|
| 受託範囲 | 維持保全を含むか、金銭管理のみかを業務一覧で確認する |
| 登録 | 賃貸住宅管理業の登録の有無・番号・名義を確認する |
| 報告内容 | 受託範囲に応じて、入金状況・相談記録・作業結果などの提出項目を決める |
| 報告条件 | 頻度・提出方法・報告先と、急ぎの連絡方法を決める |
報告の見本を取り寄せ、自分が担当する判断に必要な情報があるか確かめます。管理報告書の読み方を参照し、不足する項目の追加を契約前に相談します。
最後に、設備故障などの事例を選び、分担表に沿って連絡の流れをたどります。担当の空欄や渡し先のない箇所を直し、業務を追加する際の合意方法も記載します。
05当社でできること・できないこと
できること
- 受託する仕事とオーナーに残る仕事を一覧で示せます。
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)
できないこと
- 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
- 空室が必ず埋まると保証すること
- 契約外の業務まで自動的に対応すること
いまの管理で見落とされている点を、物件単位で確認できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。管理業務の定義と金銭管理のみの業務の説明は、[賃貸住宅管理業法第2条第2項](https://laws.e-gov.go.jp/law/502AC0000000060)を参照しています。登録と定期報告の説明は、[国交省「管理業法ポータル・制度解説」](https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/system_commentary.html)を参照しています。[国交省「賃貸住宅標準管理受託契約書」](https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001416011.pdf)の頭書(3)は、管理業務の内容・実施方法と第三者への再委託項目を記す欄です。記事の分担表は、これを参考にオーナーと受託者の担当を整理した実務例であり、標準書式そのものや法令が一律に指定する担当ではありません。業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください