賃貸管理代行の再委託
範囲と責任を契約書で確認
管理会社が他社へ仕事を任せる場合、作業の担当と契約上の責任を確かめましょう。この記事の範囲は賃貸オーナー向けの再委託の確認手順で、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。手元に契約書と説明資料を用意し、業務の分担、責任条項、連絡先を順に照合します。
- 結論
標準書式では、管理会社は再委託した業務について、自ら行ったのと同等の責任を負います。実際の責任条項は契約によります。対象業務の表と責任条項を開き、適用範囲を照合してください。
- 契約前に確認すること
- 再委託する業務と委託先を、説明資料と契約書の表で照合する
- 全部再委託の禁止を踏まえ、管理会社自身が行う業務に印を付ける
- 再委託後の責任条項を読み、通常時と緊急時の連絡先を控える
01再委託する業務と任せ先を確認する

契約前の説明で再委託の予定を聞く
再委託とは、仕事を受けた管理会社が、その仕事をさらに他の者へ任せることです。契約前に、外部へ任せる予定の業務名と範囲を、説明資料に沿って聞いてください。
施行規則第31条第6号は、一部の再委託に関する事項を契約前の説明事項に含めています。登録業者との契約では、説明資料の該当箇所を示してもらい、再委託の予定を書き留めます。
「協力会社に任せます」と説明されたら、対象となる作業を聞きます。清掃なら、共用廊下や階段などの対象箇所と作業内容を挙げてもらい、契約書の業務欄と照合してください。
管理会社の基本的な役割は、賃貸管理会社とはで整理しています。自主管理から依頼を始める手順は、自主管理から管理委託への切替えをご覧ください。
標準書式の頭書(3)と実際の契約書を照合する
国交省の標準書式では、頭書(3)に業務内容や実施方法、再委託項目と委託先を記載します。第13条第1項は、その表に従って業務の一部を再委託できると定めています。
次の表は「清掃は再委託・家賃徴収は自社」とする仮の例です。ご自身の契約書にある業務名と担当会社に置き換え、説明を受けた内容と一致するか確認してください。
| 業務 | 担当会社 | 契約上の記載を確認する箇所 |
|---|---|---|
| 共用部の清掃 | 再委託先の清掃会社 | 再委託の表示・対象箇所・内容・委託先 |
| 家賃の徴収 | 契約相手の管理会社 | 管理会社自身が実施する旨の表示 |
| その他の契約対象業務 | 業務ごとに確認 | 自社実施か再委託か、対応する業務欄 |
委託先の欄が空いていれば、未定なのか、再委託しないのかを聞きます。未定の場合は、委託先を知らせる時点と方法も質問し、回答を説明資料の該当欄に書き添えます。
表の名称や配置は契約書によって異なります。頭書(3)が見当たらない場合は、再委託の対象業務と委託先を記載した別紙などを管理会社に示してもらってください。
02管理業務の全部を再委託できるか

登録業者の全部再委託を禁じる法の規定
標準書式の第13条第2項も、頭書(3)の業務を一括して他の者へ委託することを禁じています。契約書では、一部再委託の対象だけでなく、一括委託を禁止する記載も探してください。
再委託先を複数に分けても、受けた管理業務の全部を外部へ任せてよいことにはなりません。再委託先の数ではなく、契約対象の管理業務全体の実施分担を確認します。
管理会社自身が行う業務を確認する
契約書の業務一覧を複写し、自社実施と再委託の欄を色分けします。担当が空欄の業務や両方に印がある業務は、誰がどの作業を担うのか、管理会社に記載してもらってください。
「管理会社が全体を見ます」という説明を受けたら、具体的な作業内容を聞きます。清掃後の確認など、管理会社自身が行う仕事を挙げてもらい、契約書のどの業務に当たるか照合します。
清掃などの業務名が同じでも、依頼する範囲や実施方法は契約によります。外部会社と管理会社が分担する場合は、作業と確認の担当をそれぞれ業務欄に書き分けてもらいます。
オーナーが委託する範囲が未定なら、先に依頼する業務を選んでください。業務の選び方は、管理業務の一部委託をご覧いただき、その一覧を基に再委託の分担を確認します。
自社実施の記載があるだけでは、実際の分担が法第15条に適合するかは判断できません。説明と実態に疑問が残る場合は、契約書と回答の記録を添えて専門家に相談してください。
03再委託後の責任はどの条文で見るか

標準書式では管理会社が同等の責任を負う
清掃の不備などが起きたら、対象箇所や発生状況を写真とメモで残します。契約書の担当欄と責任条項を添えて管理会社に伝え、対応内容と回答する担当者を確認してください。
同等の責任という定めは、どのような出来事でも必ず補償するという意味ではありません。具体的な責任の有無や範囲は、実際の契約条項と起きた事実によります。
自分の契約書の責任条項を確かめる
手元の契約書では、「第三者への再委託」などの見出しを探します。条番号は契約によって異なるため、再委託後に誰が誰に対して責任を負うのかを定めた文章に線を引きます。
| 照合する点 | 契約書で確かめる内容 |
|---|---|
| 責任を負う主体 | 管理会社とオーナーが、どの記号や名称で示されているか |
| 対象となる業務 | 再委託の責任条項が、どの表や業務を参照しているか |
| 責任についての定め | 自ら実施した場合と同等の責任を負う記載があるか |
| 関連する特約 | 責任の範囲や扱いについて、別の定めが置かれていないか |
標準書式と異なる文言があれば、その箇所を抜き出して管理会社に意味を質問します。条項が見当たらない場合も、再委託先の作業に不備があったときに適用する条項を示してもらいます。
契約全体の照合は、契約書の読み方をご覧ください。報酬と対象業務の確認は、管理委託料の見方で扱っています。
契約の種類が分からない場合は、契約書の表題と当事者の役割を確認してください。サブリースと管理委託の違いと照合し、不明な点は管理会社に質問します。
04責任条項と連絡体制を分けて確認する

通常の問い合わせ先と緊急連絡先を聞く
連絡先の案内を受け取り、通常時と緊急時の窓口を分けて控えます。再委託先へ直接連絡する場合があるかを聞き、該当する用件と連絡先を案内の余白に追記してください。
連絡先や受付時間の確認は、実務上の提案です。標準書式第13条が、具体的な受付時間や連絡手順を定めているわけではありません。
窓口が複数ある場合は、最初の連絡先と、不通時の次の連絡先を確認します。再委託先へ直接伝えた内容を誰が管理会社へ共有するのかも聞き、連絡順に書き留めてください。
受付時間外の連絡方法と、窓口が受け付ける用件を確認します。漏水など想定する用件を伝え、受付後に誰が作業を手配し、誰から回答が来るのかを聞いてください。
未確認事項を契約前の質問表にまとめる
ここまでの確認で回答がない項目を、次の質問表へ転記してください。回答を受けたら、対応する条番号や別紙の名称も記録し、説明資料と契約書を一緒に保管します。
| 確認項目 | 管理会社への質問 | 回答と一緒に残すもの |
|---|---|---|
| 業務 | 何を再委託し、何を自社で行いますか | 業務名・対象範囲・契約書の該当欄 |
| 再委託先 | 委託先はどこですか。未定ならいつ確認できますか | 委託先名・未定事項・確認する時点 |
| 責任条項 | 再委託後の責任は、どの条項に定めていますか | 条番号・条文・関連する特約 |
| 連絡先 | 通常時と緊急時は、どこへ連絡しますか | 窓口・受付時間・不通時の連絡方法 |
説明と契約書が異なる箇所は、該当する文章を並べて管理会社へ送ります。どちらが合意する内容かを確認し、契約書の修正が必要なら、修正後の案で該当箇所を読み直してください。
再委託先や対象業務を変更する場合の手続も、契約書で確認します。通知や承諾の扱いは契約によるため、適用する条項と、変更を知らせる時点・方法を質問してください。
05当社でできること・できないこと
できること
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)
できないこと
- 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
- 空室が必ず埋まると保証すること
- 契約書を確認せずに、個別の再委託に関する責任を断定すること
いまの管理で見落とされている点を、物件単位で確認できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。根拠:[賃貸住宅管理業法第15条](https://laws.e-gov.go.jp/law/502AC0000000060)(登録業者による管理業務の全部再委託の禁止)、[同法施行規則第31条第6号](https://laws.e-gov.go.jp/law/502M60000800083)(契約前に説明する一部の再委託に関する事項)、[国土交通省「賃貸住宅標準管理受託契約書」頭書(3)・第13条](https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001416011.pdf)(再委託項目・範囲・禁止・責任)。質問表と連絡体制の確認方法は、これらを踏まえた実務上の提案です。業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください