所有者・貸主・管理会社
契約上の立場と責任の違い
所有者と貸主が同じか、管理会社が賃貸人かは、契約関係によります。所有名義・貸主名・管理受託者名を資料から書き出します。この記事の範囲は賃貸オーナー向けの立場の整理で、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。
- 結論
所有者と貸主が同じかどうかは、契約関係によります。所有関係の資料と賃貸借契約書を照合し、管理会社の記載がある欄も確認します。
- 照合する資料
- 所有関係の資料で、建物の所有名義と変更の有無を確認する
- 賃貸借契約書で、貸主と代理・管理窓口の表示を分ける
- 管理委託契約書で、委託者・受託者と委託業務を確認する
- 修繕時の整理
修繕義務は賃貸借契約と民法で、実務担当は管理委託契約で確認します。故障の受付先だけでなく、手配する担当と承認する人も記録します。
01所有者と貸主は同じですか

所有する立場と貸す契約の当事者を分けます
所有者は建物を所有する立場、貸主は賃貸借契約で貸す側の当事者です。賃貸人とは、この貸主を指します。まず契約書の表題と当事者欄を確認します。
民法の賃貸借は、使用・収益させる約束と、賃料の支払いや終了時の返還の約束による契約です。所有名義だけで貸主を決めず、貸主欄の氏名・名称を書き出します。
管理受託者は、管理委託契約に基づいて業務を引き受ける立場です。管理会社の立場を調べるときは、賃貸借契約書と管理委託契約書のどの欄に会社名があるかを確認します。
同じ人や会社でも立場ごとに記録します
対照表には、所有者・貸主・管理受託者の欄を設けます。同じ個人や会社が複数の立場を兼ねる場合も、各欄に名称と確認した資料を書き入れます。
転貸を伴う契約では、所有者から借りる会社が、入居者へ貸す側になる場合があります。会社名には「所有者に対する借主」「入居者に対する貸主」と相手方を添えます。
管理会社という言葉の基本的な意味は、賃貸管理会社とはで確認できます。手元の契約書では、会社名の横にある貸主・代理人・受託者などの表示を書き写してください。
02管理会社が貸主かを契約書で確認します

貸主欄と代理・管理窓口の表示を読み分けます
最初に、対象の部屋に対応する賃貸借契約書を開きます。更新書類や変更合意書もそろえ、貸主・借主の記載を頭書や署名欄と照合します。
貸主欄がオーナー名で、会社名に「代理人」とあれば、本人と代理人を別々に記録します。管理会社には、委任状や契約条項など、代理権の根拠と範囲を示す資料を求めます。
「管理窓口」の表示は、連絡先を確認する手掛かりです。管理委託契約書の業務別表を開き、その会社に受付や手配をどこまで委託しているかを確認します。
| 契約書の表示 | 読み取る立場 | 追加で確認すること |
|---|---|---|
| 貸主・賃貸人 | その賃貸借で貸す側の当事者 | 対象物件・相手方・貸主変更の有無 |
| 貸主代理・代理人 | 貸主のために契約行為をする立場 | 代理される本人と代理権の範囲 |
| 管理会社・管理窓口 | 管理や連絡を担う立場の表示 | 管理委託契約で受けた業務の範囲 |
契約書の作成者や連絡担当だけでは判断しません
契約書の送付元や会社のロゴだけでは、その会社が貸主かは判断できません。家賃の振込先や連絡先は補足情報として記録し、貸主欄とは分けて照合します。
物件の売買や相続があった場合は、契約書の貸主名が現在の貸主と異なることもあります。貸主変更の通知や承継に関する資料も集め、変更の経緯を確認します。
03貸主の義務と管理会社の実務を分けます

修繕義務と委託業務を別々に確認します
民法は、原則として賃貸人に使用・収益に必要な修繕義務を定めています。借主の責めに帰すべき事由で必要になった修繕は例外です。故障原因と契約の修繕条項を確認します。
設備が故障したら、発生状況を聞き取り、契約書の設備一覧と照合します。管理会社には、調査や修理の手配を委託した条項を示して、対応できる範囲を確認します。
根拠に挙げた国交省の資料は、旧「賃貸住宅標準管理委託契約書」です。依頼者と管理業者、委託業務を分ける参考書式として使い、締結済みの個別契約に優先させません。
受付・手配・承認の担当を対応付けます
エアコンの故障を例に、確認先と実務担当を表に分けます。担当者や承認の要否は契約によります。次の表に、契約条項と確認できた担当者名を書き足してください。
| 確認・対応すること | 義務・権限の確認先 | 実務担当として記録する内容 |
|---|---|---|
| 修繕義務の検討 | 賃貸借契約の設備・修繕条項と民法 | 故障原因と設備の扱いを調べ、判断を求める担当 |
| 故障の受付 | 管理委託契約の受付業務 | 入居者から状況を聞き、貸主側へ報告する担当 |
| 点検・修理の手配 | 管理委託契約の手配業務と権限 | 業者への依頼と日程調整をする担当 |
| 実施の承認 | 管理委託契約や別途合意した承認条件 | 承認を求める担当と、判断する権限のある人 |
受付担当が決まっていても、実施を承認する人まで同じとは限りません。承認の連絡先と管理会社だけで判断できる範囲を確認し、根拠となる条項を担当表に添えます。
案件の記録には、受付・承認・手配それぞれの進み具合を記入します。管理会社への連絡後は、承認待ちか手配済みかを尋ね、次に動く担当を確認してください。
業務全体の内容は、アパート管理会社の仕事を参照してください。委託範囲に見当たらない対応は、管理会社に引受けの可否と依頼条件を確認します。
04自分の物件の立場を対照表にまとめます

資料ごとに名義・当事者・立場を書き出します
登記事項証明書などの所有関係の資料と、締結済みの各契約書を用意します。変更合意書や特約、業務の別表もそろえ、同じ物件・部屋の資料かを確かめます。
氏名・名称は省略せず、資料にある表記で写します。所有権の移転や相続で資料と現状に違いがある場合は、その経緯も記入します。登記名義だけで現在の権利関係を確定しないでください。
| 立場 | 氏名・名称 | 確認資料 | 未確認事項 |
|---|---|---|---|
| 所有者 | 資料上の所有名義を記入 | 登記事項証明書など所有関係の資料 | 対象建物との一致、売買・相続などの変更の有無 |
| 入居者に対する貸主 | 貸主の氏名・名称と借主名を記入 | 賃貸借契約書・変更合意書・貸主変更の通知など | 代理表示や特約との対応、貸主の地位の承継 |
| 管理の委託者 | 委託者欄の氏名・名称を記入 | 管理委託契約書 | 所有者・貸主との関係 |
| 管理受託者 | 受託者欄の名称を記入 | 管理委託契約書・業務別表 | 受付・手配・承認に関する業務と権限 |
この表は、立場を整理するための記入用の例です。転貸を伴うなら、所有者と会社の賃貸借についても行を追加し、貸主・借主の双方と契約名を書き入れます。
契約形態の整理は、サブリースと管理委託の違いを参照してください。該当する契約書が手元にない場合は、保管先に写しの提供を求めます。
未確認の項目と確認先を残します
資料が足りない欄は、推測で埋めず「未確認」とします。確認先と、求める資料や説明を併記してください。口頭で説明を受けた場合も、根拠となる契約の箇所を尋ねます。
例えば、管理会社の承認権限が分からなければ、業務別表や別途合意の有無を尋ねます。回答を受けたら、資料名と該当箇所、回答者と回答日を残し、担当表にも反映します。
条項の詳しい読み方は、管理委託契約書の読み方で確認できます。対照表と担当表は契約書と一緒に保管し、当事者や担当が変わったら更新してください。
05当社でできること・できないこと
できること
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)
できないこと
- 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
- 空室が必ず埋まると保証すること
- 個別契約を確認せず、貸主や責任の所在を断定すること
いまの管理で見落とされている点を、物件単位で確認できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。根拠資料:民法の賃貸借、賃貸人の地位の移転、賃貸人による修繕に関する規定を、当事者関係と修繕義務の確認に用いています。国土交通省・旧賃貸住宅標準管理委託契約書は、依頼者と管理業者、委託業務を区別する参考資料です。現行の「賃貸住宅標準管理受託契約書」とは区別し、旧書式の条項をそのまま現在の義務として扱ったり、個別契約に優先させたりしません。本文の対照表と担当表は、契約関係を整理するための実務上の記入例です。業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください