賃貸の管理会社の変更で起きる
トラブルと、困ったときの初動
切替後に明細の金額が合わないときも、まず確かめたいのは、どの家賃や手続がどこに残っているかです。ここでは困ったときの初動と、行き違いを減らす準備を対にして整理します。この記事は賃貸オーナー向けの管理委託の変更を扱い、分譲マンションの管理組合による管理会社変更は対象外とし、サブリース契約の解約は別に考えます。
- 結論
まず契約・書類・お金・入居者対応のどこが止まっているかを分けます。契約書と記録を照合し、確認する相手、次の対応、回答期限を決めます。
- 発生前にそろえること
- 終了日と費用の根拠を記録する
- 対象家賃月と振込先・口座振替の切替日をそろえる
- 進行中の案件ごとに担当・期限・完了の証拠を決める
- 解決しないとき
確認だけですべての問題を防げるわけではありません。契約解釈や請求の争いが残るときは、経緯と資料をまとめて専門家に相談します。
01何が止まっているかを切り分ける

止まっている対象と確認先を絞る
最初に、分かっている事実と、まだ確認できていないことを分けます。「入金がない」なら、入居者からの収納が未確認なのかを確かめます。
管理会社からオーナーへの送金が未確認なのかも切り分けます。原因や責任を決める前に、確認する対象を絞ります。
| 止まっているもの | 最初に見る記録 | 確認する相手 |
|---|---|---|
| 解約日・請求 | 契約書・申入れ文書・到達記録・請求内訳 | オーナーと旧会社の契約窓口 |
| 書類・鍵 | 引継ぎ一覧・受領記録・不足の一覧 | 現在の保管先と受領担当 |
| 家賃・保証手続 | 対象家賃月・収納明細・変更届の処理状況 | 新旧会社の収納担当、必要に応じ保証会社 |
| 修繕・更新・退去 | 受付履歴・合意内容・次の期限 | 旧担当と新担当、判断が必要ならオーナー |
変更の段階に合う手順を確かめる
これから変更を考える段階なら、現在の管理を事実で確かめる手順を先に確認します。初めて委託する場合は、自主管理から委託するときの確認事項に分けています。一般的な切替日程は、管理会社を変更する手順で扱います。
以下は実在の事例紹介ではなく、行き違いを整理するための想定例です。契約や収納方法によって、確認先と取れる対応は異なります。
02解約日や請求内容の認識が合わない

終了日と請求の食い違いを確かめる
想定例として、オーナーが希望した終了日と旧会社が回答した終了日が違う場合があります。申入れの日や相手への到達日、予告期間の数え方を確かめます。
どこで認識が分かれたかを確認します。請求についても、金額だけでなく、どの期間のどの業務に対するものかを確認します。
予告期間と終了時の支払いを読み分ける
条文の探し方は 管理会社を変更する手順 にまとめています。標準書式の第21条・第22条・第23条と、「3か月」の読み方を扱っています。ここでは認識が分かれやすい点だけを扱います。
予告期間だけを見て、終了時の支払いを判断しないでください。標準書式の第21条には予告による終了と、管理報酬相当額を支払っての終了の2つの規定があります。「違約金なし」でも、終了月の報酬や立替費用の精算は別に確認します。
解約予告の期間・通知方法・精算条件は、締結済みの契約書で確認します。旧い標準書式の「3か月」は例示で、現在の契約に優先する一般のルールではありません。
申入れ前に条件の返答を受ける
03書類・鍵・対応履歴がそろわない

未受領と内容の不足を分ける
想定例として、契約書の束は届いても、更新合意書がなく現在の条件を確認できない場合があります。まず、未受領か、受領したが内容が足りないかを分けます。鍵も、本数の不足と、一覧との対応が分からない場合では確認事項が違います。
受渡しの経路と代替対応を確かめる
標準書式の第22条で、書類や保管する金員の引渡し先となるのはオーナーです。新会社が直接受け取る予定なら、オーナーの指示や承諾を確かめます。
旧会社の発送先と、新会社の受領窓口も確認します。送付済みという回答がある場合は、発送記録と受領記録から所在をたどります。
資料が見つからない場合は、写しを持つ関係先への確認など、補える方法を相談します。不足する鍵がどの扉用で、最後に誰が保管していたかを旧会社に確認します。
立入りへの支障や交換の要否を、新会社と相談します。受領できていない物があっても、確認できた事実と代替対応は記録に残せます。
受領済みと照合済みを分ける
04家賃の振込先や保証会社の手続が食い違う

収納先と対象月を照合する
想定例として、入居者が旧口座へ支払っていても、新会社の明細では未入金の場合があります。明細に載っていないことと、家賃が支払われていないことは同じではありません。入居者に再度支払いを求める前に、収納先と対象月を確かめます。
保証手続と敷金の残高を確かめる
口座振替や保証会社の収納代行では、変更届の提出だけでなく受理されたかも確認します。いつの請求から反映されるかを確かめます。
保証請求中の案件も、管理変更の手続とは分けて追います。送金日や請求の締切は契約先によるため、特定の日数で解決すると見込まないようにします。
敷金の残高に差がある場合は、契約上の預り額、返還などの履歴、現在の保管者を戸別に照合します。オーナーがすでに保管している金額も確かめます。
旧会社からの未送金と取り違えていないかを確認します。差が残る場合は、未確認の金額と根拠資料を分けて照会します。
通知内容をそろえて精算まで追う
標準書式の第23条では、終了通知はオーナーと旧会社双方の役割です。新会社の管理開始の案内との食い違いを確かめ、未達や質問への対応も分担します。切替前の準備に加え、初回入金と旧会社の最終精算まで追って行き違いを減らします。
05修繕・更新・退去対応が引き継がれていない

引継ぎの段階と次の担当を確かめる
想定例として、修繕の見積りを依頼したまま切替日を迎える場合があります。新担当が次の連絡予定を知らないケースです。
切替日前後の担当と期限が未確定だと、対応漏れにつながります。担当者の姿勢を推測するより、どの段階で引き継がれたかを確認します。
影響のある案件への対応を進める
漏水など生活や安全への影響がある場合は、資料の照合と並行して、現在対応できる窓口へ連絡します。作業内容や費用負担の確認は、契約と状況に応じて進めます。
更新や退去も同様に、すでに届いている通知や合意を確認します。手続の重複と期限の見落としを避けます。
06当事者間で解決しない場合

争点と記録を時系列でまとめる
回答が食い違う場合は、契約書や変更合意書、通知と到達の記録を時系列でまとめます。請求明細、送金記録、やり取りもまとめ、各資料の確認目的を添えます。
確認できた事実と相手の説明、自分が求める対応は分けます。そうすると、争点を伝えやすくなります。
専門家に資料と期限を伝える
費用の支払義務や解約の有効性など、契約の解釈に争いが残る場合は、弁護士など適切な専門家に相談します。相手の回答を待つ間にも期限が進む手続があれば、その期限も伝えます。
登録業者の業務上の義務は、賃貸住宅管理業法にも定めがあります。個別の請求や損害の結論は、資料に即した検討が必要です。
07当社でできること・できないこと
できること
- 変更時に止まっている項目と、確認する相手・必要な記録を整理する
- 当社との管理契約は、3か月前の予告でいつでも終了でき、違約金はありません(これは当社の条件で、一般のルールではありません。終了月の報酬など精算の有無は別にご説明します)
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)
できないこと
- 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
- 空室が必ず埋まると保証すること
- 個別の契約解釈や請求の争いについて、法的な結論を断定すること
いまの管理で見落とされている点を、物件単位で確認できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。契約終了と通知の説明は、国交省「賃貸住宅標準管理受託契約書」第21条・第22条・第23条を参照しています。3か月の記載は「旧・賃貸住宅標準管理委託契約書」の例示です。登録業者の業務上の義務は「賃貸住宅管理業法」を参照しています。想定例と初動の整理は実務上の提案であり、個別の責任を判断するものではありません。解約の予告期間や精算の条件は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください