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家賃の値上げ、大家側の対応
断られた後の確認と進め方

公開日:2026年11月03日 更新日:2026年11月03日 Lincloud Owners 編集部(宅地建物取引士)

家賃の値上げを断られたら、再通知の前に回答と入金記録を確認します。契約と根拠資料をそろえ、管理会社に依頼する担当業務を決めます。この記事の範囲は入居中の家賃増額を考える賃貸オーナー向けの対応で、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。

この記事の結論
結論

拒否の回答だけで対応を決めず、契約・増額の根拠・支払状況を確認します。管理会社に依頼できる業務を照合し、契約の解釈や請求の効力に争いがあれば弁護士へ相談します。

最初にそろえるもの
  • 賃貸借契約書と、賃料について取り交わした合意書
  • 増額の提案・通知と根拠資料、借主からの回答
  • 対象月ごとの入金記録と、協議の経過をまとめたメモ
支払いの見方

増額分の争いと、従前賃料の未入金を分けて記録します。差額の請求や退去を求める対応に進む前に、契約と支払状況を弁護士に確認してもらいます。

01値上げを断られたら、まず何を確認するか

値上げへの回答と家賃の支払状況を確認する資料

拒否の回答と、これまでの協議を保存する

まず、借主からの回答を原文のまま保存します。管理会社が電話で受けた回答なら、受けた日時と担当者、借主の説明を記録してもらいます。

回答を読み、金額への異論か、開始時期の相談か、根拠の確認かを書き分けます。理由が示されていない場合は推測で補わず、次の連絡で確認する事項に加えます。

貸主側が送った提案や通知も、添付資料を含めて保存します。希望額と適用を求めた時期、送付先、到達を確認できる記録を一緒に残します。

増額分の争いと通常の滞納を分けて考える

次に、対象月ごとの入金額と入金日を確認します。家賃と共益費などの内訳も照合し、増額分の差額と従前賃料の未入金を別の欄に記録します。

借地借家法第32条第2項は、増額協議が調わない場合の支払いを定めています。増額を正当とする裁判が確定するまでは、借主が相当と認める額を支払えば足りるとしています。

裁判確定時に支払済みの額が不足していれば、不足額の精算が必要です。同項では、不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付すと定めています。

従前賃料の支払いがある場合も、最終的な精算の要否は別に確認します。増額分との差額だけで直ちに滞納や退去の扱いを決めず、請求内容と入金明細を弁護士に示します。

増額の争いとは別に入金が途絶えている場合は、その対象月と金額を抽出します。未入金の確認と連絡は、家賃滞納時の対応手順を参照してください。

02契約と賃料を見直す根拠を整理する

契約条項と税負担の変化から増額の根拠を整理する資料

賃料改定条項と増額しない特約を確認する

契約書では、賃料改定の条項と特約を併せて読みます。締結時の契約だけでなく、その後の更新書類や賃料変更の合意書も確認します。

第32条第1項では、一定期間増額しない特約がある場合、その定めに従います。該当する条項と対象期間を書き出し、今回の増額希望時期が期間内か確認します。

更新時期を迎えるだけで、希望額への変更が決まるわけではありません。改定条項に記載された条件と今回の事情を並べ、解釈が分かれる箇所を弁護士に示します。

管理会社の保管分と手元の書類に違いがあれば、締結済みのものを確認します。保管方法は、賃貸借契約書の作成・保管を参照してください。

定期建物賃貸借では、第38条により、賃料改定に係る特約がある場合は第32条が適用されません。特約がなければ第32条の適用を検討します。該当するか判断に迷う条項は、全文を弁護士に確認してもらいます。

税負担・経済事情・近傍同種の賃料資料をそろえる

第32条第1項は、税負担や経済事情の変動、近傍同種の賃料との比較を要件としています。これらにより賃料が不相当となった場合、将来に向かって増減額を請求できる規定です。

現在の賃料を定めた時期と経緯を確認し、その時点と現在を比較できる資料を集めます。各資料に対象期間と出典を記し、増額理由として説明する変化に印を付けます。

資料確認する点不足情報
契約書・賃料変更の合意書現行賃料の決定時期と改定条件特約の別紙や過去の合意書の有無
固定資産税等の通知書土地・建物の負担額とその変化比較する時期と対象範囲
経済事情に関する資料土地・建物価格などの変化と対象物件への関係出典と比較時点が分かる情報
近傍同種の賃料資料立地・面積・築年・設備などの条件募集額か成約額か、共益費の内訳
修繕の明細・実施記録工事内容と建物の状態の変化他の根拠資料との関係

募集賃料は、実際に合意された賃料と一致するとは限りません。管理会社には、比較対象を選んだ理由と条件の違いを資料に追記してもらいます。

修繕費の増加だけで、増額の妥当性が決まるわけではありません。工事明細を維持修繕と設備の変更に分け、賃料への影響を他の資料と併せて専門家に確認します。

借主への再説明に使う文書には、希望額・適用を求める時期・見直す理由・対応する資料名を記載します。裏付けが不足する理由は、資料を追加するか、記載の可否を弁護士に確認します。

03管理会社に頼む仕事と相談先を分ける

管理会社への資料収集と連絡の依頼範囲を決める図

資料収集・提案の伝達・回答記録の担当を決める

管理会社には、資料収集と借主への連絡が委託業務に含まれるかを確認します。対応できる範囲と追加費用の有無を、締結済みの管理委託契約書と照合します。

国土交通省の標準管理受託契約書は、業務内容や実施方法を記載する構成です。照合の参考にし、実際の契約で記載がない仕事は、着手前に担当と実施方法を書面で決めます。

仕事担当の決め方受け取る成果物
契約・負担額の資料収集オーナーが手元の資料を用意し、管理会社が保管分を確認契約書一式と不足資料の一覧
比較する賃料資料の整理管理会社に対応可否と調査範囲を確認比較条件・出典・調査時点を記した資料
提案の伝達貸主が文面を確認し、管理会社が伝達できる範囲と担当を決定送付した文書と到達の確認記録
借主の回答・入金の記録受付担当と家賃管理担当の情報をまとめる担当を決定回答原文・面談等の記録・入金明細

依頼時には、報告を受ける方法と時期も書面に残します。追加提案や条件変更を求められた場合は、回答前にオーナーへ確認する手順を担当者と決めます。

契約全般の確認項目は、管理委託契約書の読み方を参照してください。今回依頼する仕事は、該当する契約条項を添えた依頼一覧にまとめます。

対立が続いたら専門家への相談を検討する

貸主の提案を伝える連絡業務と、紛争の代理交渉は区別します。標準管理受託契約書や管理委託契約の存在だけで、増額交渉の包括的な代理権があるとは判断しません。

根拠や特約の解釈で対立したら、双方の主張を並べて弁護士に相談します。通知の意味や効力も争われている場合は、追加の通知案を送付前に確認してもらいます。

賃料の評価に専門的な検討が必要な場合は、不動産鑑定士への相談も検討します。弁護士と相談目的を確認し、評価の対象と時点を示して依頼範囲を決めます。

専門家への依頼時は、助言だけか、交渉や手続の代理も含むかを見積書・委任契約書で確認します。管理会社には資料提供の担当を指定してもらい、相談結果を共有する窓口も決めます。

04合意できない場合の相談準備を進める

協議の経過と送付資料を専門家への相談用にまとめる図

契約書・送付資料・回答・入金記録をまとめる

収集した資料を相談先に渡せるよう、次の区分で目次を付けます。経過の一覧には出来事の日付と資料名を記し、該当する原文を参照できるようにします。

相談時には、オーナーが求める金額と開始時期を別紙で伝えます。変更を検討できる条件も書き添え、資料による裏付けと希望条件を分けて説明します。

支払いの扱いと調停等の手続を専門家に相談する

弁護士には、送付した文書が増額請求として扱われるかを確認します。到達の記録も示し、請求の効力と増額が認められる場合の適用時期を相談します。

従前賃料の受領について借主へ伝える文面と、差額の記録方法も確認します。精算が必要になる場合に備え、対象月ごとの不足額と利息の計算方法を尋ねます。

協議を続ける場合と調停等へ進む場合について、必要な資料と費用を尋ねます。訴訟を考える場合は調停との手続上の順序も確認し、次の対応と担当を決めます。

合意に至った場合は、新しい賃料と適用時期を合意書案に記載します。過去の対象月に差額があるときは精算額と支払方法も記し、双方で内容を確認します。

相談前に、不足資料・取得する担当・確認したい争点を一覧にします。管理会社には資料の提出予定を確認し、弁護士には手元の資料を先に送って相談日時を決めます。

05当社でできること・できないこと

できること

  • 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)

できないこと

  • 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
  • 空室が必ず埋まると保証すること
  • 借主が家賃の増額に応じると保証すること
実際にお渡ししているレポートを、そのまま公開しています
架空の物件でお作りしたものを、原寸で全部お見せしています。空室の損失、賃料の位置、修繕の回収期間、売却の目安まで、A3一枚に入っています。

その修繕費が何か月で回収できるか、先に整理できます

お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。

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[object Object],[object Object],業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください