賃貸のカビ、管理会社への依頼
貸主の初動と負担判断
この記事は賃貸オーナー向けで、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。カビの申告には、原因確認と必要な応急対応を並行して進めます。管理会社への調査依頼から、費用負担の検討と次回報告の設定までを整理します。
- 結論
- 原因を決めつけず、必要な調査と応急対応を依頼します。作業の承認時には、対象と費用を記録し、最終的な費用負担が未確定であることも共有します。
- 管理会社に求めること
- 発生箇所・気づいた時期・写真・臭いの状況を記録する
- 漏水や換気設備を確認し、委託範囲に応じて調査と応急対応を手配する
- 判明した事実と未確認事項を分け、次回報告の予定を示す
- 負担判断の前に
調査結果、設備の履歴、申告前後の対応記録をそろえます。損傷ごとに原因と被害拡大の経緯を整理し、賃貸借契約の修繕・通知に関する条項と照合します。
01カビ・カビ臭の申告内容を記録する

発生箇所・時期・写真と臭いの状況
アパートや賃貸マンションでカビの連絡があれば、まず申告内容を残します。管理会社には、入居者の説明と担当者が確認した事実を分けて記録してもらいます。
「部屋がカビ臭い」という申告でも、見えるカビがあるとは限りません。臭いを感じる場所や場面を聞き、見える変色の有無とは別の欄に記録します。
| 確認項目 | 管理会社に記録してもらう内容 |
|---|---|
| 発生箇所 | 部屋名、壁・天井・収納内などの位置、周辺への広がり |
| 気づいた時期 | 最初に気づいた時期、その後の変化、以前にも同じ申告があったか |
| 写真 | 位置が分かる全景と状態が分かる近景、撮影日と撮影箇所 |
| 臭いの状況 | 感じる場所、常に感じるか、雨や設備の使用との関係 |
| 漏水の兆候 | 水染み、濡れ、滴下の有無、雨天時や水回り使用時の変化 |
| 換気設備 | 運転の状態、異音や停止、過去の不具合申告と修理の有無 |
写真には、撮影箇所を間取り図に対応させた説明を添えてもらいます。変化を比べるため、追加撮影では同じ位置と向きで撮れるか、入居者に確認してもらいます。
以下の受付・調査・報告の手順は、貸主が依頼内容を整理するための実務提案です。法令や標準書式が一律に定める調査手順ではありません。
漏水の兆候と換気設備の状態
窓際のカビでも、すぐに換気不足とは判断しません。管理会社には、濡れが生じる場所と雨天時の変化を聞き取り、現地で確認する箇所を絞ってもらいます。
換気設備については、入居者に使用時間帯や操作方法を聞いてもらいます。実際の作動や吸排気の状態は現地で確認し、判断が難しければ専門業者の調査を依頼します。
02現地調査と応急対応を手配する

管理会社の手配範囲と貸主の承認事項
管理会社に連絡すれば、すべての調査や工事が委託範囲に含まれるとは限りません。手元の管理委託契約書で、現地確認や業者手配の範囲、費用と承認の扱いを確認します。
国交省の標準管理受託契約書は、業務範囲や費用の定めを確認する参照書式です。立替費用の承諾・協議と緊急時の業務は別の定めですので、締結済みの契約でも分けて確認します。
| 手配する内容 | 先にそろえる事項 |
|---|---|
| 現地確認 | 訪問担当、確認箇所、入居者への事前連絡と室内立入りの承諾 |
| 専門業者の調査 | 調査の目的と範囲、費用、追加調査が必要になった場合の連絡方法 |
| 応急対応 | 必要な作業、事前承認の要否、承認を待てない緊急時の実施権限と事後報告 |
貸主の承認が必要なら、管理会社に作業内容と費用の根拠をまとめてもらいます。調査と本工事を分けて回答し、承認した範囲をメールなどで残します。
契約全般の確認は、管理委託契約書の読み方を参照してください。委託範囲にない作業は、貸主が直接手配するか、追加で委託するかを決めます。
必要な応急対応と専門業者への調査依頼
たとえば天井に水染みがあり、漏水が疑われるケースです。管理会社には、疑われる配管や周辺を調べられる業者を選び、訪問可能な日時を確認してもらいます。
調査依頼には、申告写真と発生箇所、濡れが続いているかを添えます。調査する箇所と方法を業者に示してもらい、追加費用が生じる作業の連絡先も伝えます。
止水などが必要かは、現地の状況を踏まえて業者に確認します。設備の使用に影響する場合は、対象設備と使用制限の内容、復旧の見通しを入居者へ伝えてもらいます。
表面の清掃と、湿気や水分が生じる原因への対応は別です。清掃前の状態を記録し、原因への対処が未了なら、残る作業と担当を確認します。
見積書では、調査・応急対応・本工事の対象が分かる説明を求めます。金額や内訳の確認方法は、修繕見積もりを確認するポイントを参照してください。
03原因と経緯から費用負担を検討する

調査結果・設備履歴・対応記録をそろえる
費用負担の検討には、請求書に加えて原因を説明する資料をそろえます。管理会社に、見積書の作業項目と調査報告の損傷箇所を対応させてもらいます。
| そろえる資料 | 確認する点 |
|---|---|
| 現地調査の報告 | 確認箇所、調査方法、原因の見立てとその根拠、未確認の範囲 |
| 設備の履歴 | 過去の点検・修繕、不具合の申告、同じ箇所での再発の有無 |
| 申告と対応の記録 | 気づいた時期、連絡の時期、手配・承認・作業の経過 |
| 契約書と見積書 | 賃貸借契約の修繕・通知条項、管理委託契約の対応範囲、作業対象と費用の内訳 |
入居者が気づいた時期と、管理会社が連絡を受けた日は分けて記録します。貸主への報告日や業者の訪問日も時系列に並べ、各時点で把握していた状態を添えます。
記録がない部分は推測で埋めず、未確認として残します。業者の見立てが「可能性」にとどまるなら、その理由と、判断に足りない資料を追加で求めます。
修繕義務と損害の負担を分けて確認する
民法第606条第1項は、使用・収益に必要な修繕を貸主の義務としています。ただし、借主の責めに帰すべき事由で修繕が必要となった場合には例外があります。
民法第615条は、修繕が必要な場合の借主から貸主への遅滞ない通知を定めています。貸主が既に知っている場合は例外です。管理会社への連絡記録と、通知を受ける権限も確認します。
たとえば、換気設備の不良と入居者の申告の遅れが疑われる場合です。業者には、設備不良が発生に与えた影響と、申告までに損傷が広がった可能性を分けて確認します。
申告の遅れを検討する際は、借主が修繕の必要性を把握した時期を確認します。以前の連絡や点検記録も照合し、貸主側が既に把握していた事情を書き出します。
設備不良が見つかった場合も、対象となる損傷ごとに原因との関係を整理します。管理会社が借主と負担を協議する前に、契約上の権限と貸主の事前承諾の要否を確認します。
原因や損害との関係が争われる場合は、調査報告・時系列の記録・契約書を弁護士などに提示します。費用項目ごとの負担根拠と、追加で必要な証拠を確認してください。
退去時の精算に関わる場合も、今回の調査記録を引き継ぎます。退去時の費用の考え方は、原状回復とオーナー負担で確認してください。
04管理会社の報告で次の対応を決める

判明した事実と未確認事項を分ける
管理会社には、報告を「判明した事実」「未確認事項」「次の対応」に分けてもらいます。「対応済み」とある場合は、完了した作業名と実施日を追記してもらいます。
水染みを確認した事実と、漏水が原因という見立ては別です。原因の説明には根拠となる写真や調査結果を添え、業者の判断が確定か暫定かも記載してもらいます。
入居者の説明と現地調査の結果が違う場合は、片方を消さずに残します。訪問時には濡れていなかった場合も、申告時との天候や設備使用の違いを確認してもらいます。
| 報告の区分 | 貸主が確認する内容 |
|---|---|
| 判明した事実 | 現地の状態、確認した設備不良、写真や調査結果との対応 |
| 未確認事項 | 未調査の箇所、原因候補、追加調査の必要性と進め方 |
| 次の対応 | 担当、承認を求める内容、入居者への案内、次回報告の予定 |
対応担当・承認事項・次回報告を決める
報告を受けたら、追加調査や工事の担当者と、貸主の回答期限を決めます。入居者への説明文も確認し、負担が未確定なら確定済みと受け取られる表現を修正します。
次回報告は「進展があれば」のままにせず、報告する予定日を相談します。調査日が未定なら、日程調整の状況を誰がいつ伝えるかを決めておきます。
作業後は、実施内容と残る確認事項を報告してもらいます。水染みや臭いの変化など、再確認する項目と担当を決め、再発の申告があれば今回の記録につなげます。
一般的な窓口と連絡分担は、入居者対応をどこまで管理会社に任せるかを参照してください。今回の担当者が不在の場合の連絡先も、管理会社に確認します。
05当社でできること・できないこと
できること
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)
できないこと
- 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
- 空室が必ず埋まると保証すること
- 原因調査をせずにカビの費用負担を確定すること
入居者対応も含めて、管理上の不安を整理できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。必要な修繕の義務と例外、借主の通知義務は、民法第606条・第615条を参照しています。委託範囲・費用・承認・緊急時の対応の確認には、国交省の賃貸住宅標準管理受託契約書を参照しています。受付・原因調査・報告の手順は実務上の提案です。個別の費用負担は、調査記録と賃貸借契約を照合し、争いがある場合は専門家に確認してください。業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください