賃貸管理を自分で回すには
日常業務と不在時の備え
賃貸管理を自分で行う際は、契約書と過去の対応記録から、確認する仕事と期限を書き出します。この記事は賃貸オーナー向けに自主管理の運用を扱い、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。
- 結論
自主管理では、確認予定と未完了の案件を分けて記録します。不在時に対応を頼む相手とは、連絡順序と依頼できる作業を事前に合意します。
- 用意するもの
- 定例予定表:確認対象・予定日・実施結果を残す
- 案件記録:受付内容・手配先・次の連絡予定をまとめる
- 不在時の連絡表:連絡順序・対応範囲・報告方法を決める
01自分で担う仕事を一覧にします

入金・共用部・契約期限を確認します
最初に、いま自分が担っている仕事を書き出します。賃貸借契約書や入金明細、過去の修繕記録を開き、確認や手配をした仕事を一覧に加えます。
入金確認や共用部の確認など、繰り返す仕事には「定例」と記入します。契約期限を調べる際は、部屋ごとに契約書を開き、満了日と通知期限を別欄に転記します。
| 仕事 | 動くきっかけ | 残す記録 |
|---|---|---|
| 入金確認 | 契約上の支払期日に合わせた確認予定 | 対象月・入金日・金額・未確認事項 |
| 共用部の状態確認 | 建物の状態に合わせた確認予定や異常の連絡 | 確認日・場所・状態・写真 |
| 契約期限の把握 | 満了日や通知期限から逆算した予定 | 契約の該当箇所・期限・確認結果 |
| 設備不具合の受付 | 入居者からの連絡や現地での発見 | 症状・手配先・次の連絡予定 |
| 退去連絡の受付 | 入居者からの退去の申出 | 受付日・申出内容・契約上の期限 |
業務の棚卸しには、[国交省の賃貸住宅標準管理受託契約書](https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001416011.pdf)の点検・清掃、修繕、家賃等の徴収の項目が参考になります。自主管理の貸主に、この書式の使用を義務付けるものではありません。
入金が確認できない場合は、対象月や名義などの確認結果を残します。その後の連絡手順は、家賃滞納に気づいたときの対応で確認してください。
故障・退去連絡は発生時の仕事に分けます
故障や退去の連絡には、「発生時」と記入します。電話を受けた際にも記録できるよう、受付日時と申出内容の入力欄を用意します。記録の保存先は、対応する人が開ける場所に決めます。
退去は、申出を受けた日時と希望日をまず記録します。予告期間や通知方法は契約によるため、契約書と照合します。不明な点は入居者に確認し、契約終了日と希望日を分けて記入します。
この記事で扱う退去業務は、受付と期限の把握までです。費用負担や精算の考え方は、原状回復でオーナーが負担する範囲を参照してください。
02定例確認を予定表に落とします

確認予定は契約期限と建物の状態から決めます
確認の頻度を決める前に、契約上の期限と設備の取扱説明書を確認します。過去に不具合が起きた場所も拾い、確認する日と、その日を選んだ理由を予定表に記入します。
予定表には、確認する日だけでなく対象と方法も記入します。たとえば共用灯なら、設置場所と「点灯状態を目視する」と書きます。実施後に結果を書く欄も、先に用意しておきます。
| 確認対象 | 予定の決め方 | 実施後に残すこと |
|---|---|---|
| 入金状況 | 契約の支払期日と明細への反映状況を確認して設定する | 確認日・照合結果・未確認の対象 |
| 共用部 | 汚れや傷み、過去の不具合を確認して設定する | 実施日・見た場所・変化・写真 |
| 契約期限 | 契約記載の期限から確認や準備に必要な作業を逆算する | 確認した条項・必要な手続・次の予定 |
共用部では、前回と同じ場所を撮影して写真を比べます。変化がなかった場合も、その旨を記録します。問題を見つけた場合は、場所と状態を案件記録へ転記します。
予定どおり確認できなかった場合は、未実施のまま残します。変更理由と次の確認予定を記入し、実施済みと区別します。現地へ行けない場合は、協力先に確認作業を依頼できるか尋ねます。
ここで示す予定表と記録形式は、編集部の実務提案です。目視による日常確認で、設備ごとに必要な専門点検を代替できるとは限りません。対象設備の点検要件と実施予定は別途確認してください。
未完了の修繕は予定表と別に追います
予定表には確認日や訪問日を、案件記録には対応の経過を書きます。同じ案件名を両方に記入し、予定表から該当する記録を探せるようにします。
未完了の案件には、現在の状態と止まっている理由を残します。見積待ちなら、依頼先と次に問い合わせる日を記入します。その日を予定表にも登録します。
確認日になっても部品が届かない場合は、業者に入荷の見込みを尋ねます。見込みが立たない場合は、代替品や応急対応の可否を確認します。回答を記録し、次の対応を決めます。
03受付から完了まで同じ記録で追います

受付日時・症状・写真をまとめます
設備不具合の連絡を受けたら、部屋と設備、いつから何が起きているかを聞き取ります。入居者が見た事実と貸主の推測は分けます。写真は安全に撮れる範囲で共有してもらいます。
蛇口からの漏水なら、漏れる場所と、水が出続けているかを聞き取ります。設備が使えるか、周囲に被害が広がっているかも確認します。聞いた内容を業者に伝え、応急対応の要否を尋ねます。
| 記録項目 | 記入する内容 |
|---|---|
| 受付 | 受付日時・連絡方法・部屋・連絡者 |
| 症状 | 設備名・発生時期・現在の状態・生活への影響 |
| 写真・資料 | 撮影日・撮影箇所・画像や資料の保存先 |
| 手配 | 依頼先・依頼内容・回答・訪問予定 |
| 次の連絡 | 誰が誰へ・何を確認するか・連絡予定 |
| 完了確認 | 作業内容・報告受領日・使用状況・残る事項 |
メールや電話で受けた続報は、受信日時と相手の名前を添えて追記します。元の記録を消さず、写真の保存先やメールの控えも同じ案件から開けるようにします。
[民法第606条・第615条](https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)が確認先です。第606条第1項は、使用・収益に必要な修繕を貸主の義務とし、借主の責めに帰すべき事由で必要となった修繕を除きます。第615条は、修繕が必要な場合などに借主が遅滞なく通知する義務を定め、貸主が既に知る場合を除きます。
手配先・次の連絡予定・完了確認を残します
業者へ依頼するときは、受付内容と写真を必要な範囲で共有します。訪問候補を入居者と調整し、確定した日時を記録します。業者へ連絡した段階と、訪問が決まった段階を分けます。
訪問が未確定なら、誰からの返答を待っているかを明記します。入居者には、手配中であることと次に状況を伝える予定を連絡します。送信日時や電話で伝えた内容も記録します。
修繕後は、業者の作業報告と入居者の使用状況を確認します。作業した箇所と症状が改善したかを記録します。追加作業がある場合は、その内容と担当者を未完了欄に記入します。
入居者と連絡が取れず使用状況を確認できない場合もあります。そのときは「業者の作業報告受領・使用状況は確認待ち」と記載します。再連絡する日を決め、確認後に結果を追記します。
04不在時にも連絡と手配が進むよう備えます

緊急連絡先と代わりに動ける相手を決めます
旅行中に漏水の連絡が入る場面を考えてみます。貸主が電話を受けられても、現地確認や業者の手配が難しい場合があります。受付担当と現地対応を頼む相手を、連絡表の別欄に記入します。
協力先には、不在期間を伝えて連絡を受けられるか確認します。受付可能な時間や地域、対応できる設備を尋ねます。過去に依頼した相手でも、今回の対応可否を確かめて記入します。
| 連絡表の項目 | 出発前に確認・記入する内容 |
|---|---|
| 最初の連絡先 | 受付窓口・連絡方法・受付可能な時間 |
| つながらない場合 | 次の連絡先・連絡を回す順序 |
| 代わりに動く相手 | 氏名や担当窓口・現地対応や手配の可否 |
| 対応できる範囲 | 状況確認・応急対応・訪問手配のうち合意した範囲 |
| 貸主への報告 | 電話やメール等の方法・報告する内容・記録の保存先 |
入居者へ案内する連絡先は、相手の了承を得てから共有します。不在期間中の連絡方法と、つながらない場合の連絡先を案内します。協力先へ渡す入居者情報は、対応に必要な範囲に絞ります。
依頼できる範囲と貸主への報告方法を共有します
協力先とは、漏水の連絡を受けた想定で連絡表を読み合わせます。誰が症状を聞き取り、誰が業者へ連絡するかを確認します。担当が決まっていない作業があれば、その場で相談します。
応急対応と本修繕について、依頼できる作業を分けて合意します。費用の承認が必要な条件と貸主への確認方法も書きます。貸主が返答できない場合に判断を任せる範囲も、事前に決めます。
自分では継続して担えない仕事が見えたら、その業務を一覧に残します。分担を検討する際の確認事項は、賃貸管理を一部委託するときの整理で扱っています。
管理体制全体を見直す場合は、自主管理から管理委託へ移る際の確認事項を参照してください。相談時には予定表と未完了案件の記録を用意し、引き継ぎたい仕事を示します。
05当社でできること・できないこと
できること
- 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)
できないこと
- 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
- 空室が必ず埋まると保証すること
- 貸主不在時の即時対応を一律に保証すること
いまの管理で見落とされている点を、物件単位で確認できます
お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。
LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。業務の棚卸しは、[国交省「賃貸住宅標準管理受託契約書」](https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001416011.pdf)の業務項目を参考にしています。貸主の修繕義務と借主の通知義務は、[民法第606条・第615条](https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089)を確認先としています。予定表・案件記録・不在時の連絡表は編集部の実務提案であり、法令が定める統一書式ではありません。業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください