オーナーズガイド›入居者と建物›害虫・害獣の初動と費用負担
GUIDE / 入居者と建物のこと

賃貸のゴキブリ・コウモリ
管理会社への依頼と費用負担

公開日:2026年10月17日 更新日:2026年10月17日 Lincloud Owners 編集部(宅地建物取引士)

害虫・害獣の申告を受けたら、管理会社に発生状況の確認を頼みます。この記事は賃貸オーナー向けに調査依頼と費用負担の確認を扱い、分譲マンションの管理組合・入居者向けは対象外です。

この記事の結論
最初に整理すること
  • 種類・発見場所・時期と、建物側の状況を管理会社に確認してもらう
  • 受付・調査手配・発注の担当と、貸主承認の条件を確かめる
  • 調査・駆除・補修を分け、原因と契約に沿って負担を検討する
承認に必要な資料

申告記録、調査写真、費目別の見積もり、関係する契約条項をそろえます。不足する資料は管理会社に提出を頼み、未確認事項が発注判断に影響するかを業者に確認します。

01申告を受けたら発生状況を整理する

害虫の申告内容を電話と記録帳で整理するイメージ

種類・場所・時期を管理会社に聞き取ってもらう

申告を受けたら、管理会社に次の項目の聞き取りを依頼します。入居者が実際に見た内容と、原因についての推測を分けて記録してもらいます。

種類が不明なら、受付の段階では「不明」と記録します。音やふんのような痕跡だけで、コウモリなどと決めつけません。管理会社から専門業者へ写真や聞き取り内容を渡し、種類の確認を依頼します。

貸主は、過去に似た申告や補修の記録がないかを確認します。記録があれば、対応した場所・作業内容・再発の有無を管理会社に伝えます。

建物の隙間と侵入経路の調査を依頼する

聞き取りだけで原因が分からない場合は、現地調査の手配を相談します。配管周辺などの隙間と、発見場所との関係を確認してもらいます。室内調査では、入居者への事前説明と承諾の取得、日程調整を依頼します。

調査では、隙間の写真だけでなく、侵入経路と考えた理由も求めます。目視で確認できた事実と、業者の推定を報告書で分けてもらいます。確認できない箇所があれば、その範囲も残します。

コウモリが疑われる場合は、専門業者に種類と対応方法の確認を依頼します。種類が不明なまま捕獲や隙間の閉鎖を指示せず、必要な調査と作業の順序を確認します。

調査を依頼するときは、現地への立入りや高所の確認など、実施できる範囲を業者に尋ねます。確認できない箇所については、追加調査の方法も提案してもらいます。

02管理会社の手配範囲と承認条件を確かめる

管理委託契約書と承認印で手配範囲を確認する図

受付・調査手配・発注の担当を確認する

管理会社に頼める範囲は、締結済みの管理委託契約で確認します。入居者からの受付、業者との調整、作業の発注を分けて見ます。担当が書かれていない業務は、管理会社と協議して決めます。

業務管理会社に確認する内容
申告の受付聞き取り、記録、貸主への報告を誰が行うか
調査の手配専門業者の選定、訪問調整、報告書の回収まで含むか
作業の発注誰の名義で発注し、どの段階で貸主の承認を得るか
完了の確認作業結果と残る課題を、誰が確認して報告するか
管理会社が手配するだけでは、費用の負担者は決まりません。管理会社への支払い条件と、貸主・借主間の最終的な費用負担を、それぞれの契約で確認します。

契約全般の確認は、管理委託契約書の読み方で扱います。今回は害虫・害獣対応に関係する業務欄と、費用・承認に関する特約を管理会社と照合します。

別途費用・立替・貸主承認の条件を確認する

標準書式の第6条では、立替額が特約で定めた金額以下なら貸主の承諾を不要としています。超える場合は事前協議が必要です。実際の契約に同じ定めがあるか、金額欄と併せて確認します。

調査料や業者手配の費用が別途生じるか、手配前に確認します。支払い先、立替の有無、精算方法を管理会社に尋ねます。回答を契約書の費用欄と照合し、不一致があれば説明を求めます。

調査と作業をまとめて頼む場合は、作業場所・内容・金額を依頼書に記載します。「必要な対応一式」とせず、調査結果を見て改めて承認する作業も明記します。

標準書式は確認項目を探すための参考です。空欄の金額や個別の特約を推測で補わず、実際に締結した契約書と変更合意を確認します。

03駆除と補修を分けて費用負担を検討する

侵入箇所の調査写真と見積書を照合して検討する図

建物の不具合・借主側の行為と契約を照合する

費用負担の検討には、調査報告書と賃貸借契約書を用意します。建物の不具合や借主側の行為が発生にどう関係したかを業者に尋ね、該当する修繕・費用負担の条項と照合します。

民法606条1項は、使用・収益に必要な修繕を貸主の義務としています。ただし、借主の責めに帰すべき事由で必要となった場合は例外です。駆除費用の負担を直接、一律に定めた規定ではありません。

民法615条では、修繕が必要な場合、借主は遅滞なく貸主に通知する必要があります。貸主が既に知っている場合は例外です。申告日と貸主が把握した日を記録し、対応の経緯を確認します。

借主側の行為が原因と説明された場合は、裏付けとなる写真や所見を業者に求めます。負担について合意できない場合は、契約書と調査資料をそろえ、弁護士などに相談します。

発見場所や通知の時期だけで、借主へ全額を請求しないようにします。建物側に原因がある場合も、支出ごとに原因との関係、作業の必要性、契約上の扱いを確認します。

調査・駆除・隙間補修の必要性を個別に確認する

見積もりが一式表示で内容を確認できなければ、業者に内訳を求めます。次の表に沿って、費目ごとの作業場所と調査写真を対応させ、負担を検討する資料にします。

費目調査で分かったこと必要性契約条項判断理由
調査種類・経路の確認済み事項と未確認事項追加確認が必要な範囲を業者に尋ねる管理委託契約の調査手配・費用の定め何を明らかにするための支出かを記入する
駆除発生状況と対象範囲作業の目的と対象範囲を業者に尋ねる賃貸借契約の費用負担に関する定め原因と作業範囲を照合した結果を記入する
隙間補修建物の不具合と侵入経路との関係補修する箇所と理由を業者に尋ねる賃貸借契約の修繕条項と管理委託契約の発注承認条件補修の必要性と負担の根拠を記入する

表は確認事項の整理例です。契約に該当条項がない場合は「該当条項なし」、原因が分からない場合は「未確認」と記入します。

原因が確定しなくても、先に必要な対応があるかは業者に確認します。先行する作業と当面の支払い方法を関係者で協議します。最終的な費用負担を保留する場合は、その合意内容をメールなどに残します。

見積もりの内容を比較する手順は、修繕見積もりの確認ポイントで扱います。退去時の精算に関わる場合は、原状回復でのオーナー負担も別途確認します。

04調査結果と判断理由を記録して対応を進める

対応報告書と予定表で次の連絡事項を整理する図

調査結果・見積もり・承認内容を記録する

管理会社に、調査から完了までの資料を同じ案件名で保存してもらいます。見積もりが修正された場合は旧版も残し、承認した版のファイル名を承認メールに記載します。

電話で承認した場合も、内容をメールで管理会社に送り、認識違いがないか確認します。作業範囲が変わったときは、変更理由と追加見積もりを受け取り、承認の要否を契約に沿って確認します。

完了報告では、予定した作業がどこまで実施されたかを確認します。未実施の箇所があれば、理由と今後の対応を管理会社に尋ねます。請求書も承認内容と照合してから精算を進めます。

入居者への説明担当と次の報告事項を決める

入居者への説明は、管理会社と貸主のどちらが行うか決めます。担当者には、調査結果、次の作業、費用負担の確定・保留を記した説明文を渡します。原因が未確定なら、その点も明記します。

調査や見積もりの予定を確認し、次に入居者へ連絡する日と担当者を決めます。結果が間に合わない場合も、確認中の事項と次の連絡予定を伝えてもらいます。

作業後に再び申告があった場合は、新たな発見場所や時期を前回の記録と照合します。連絡体制の詳細は、入居者からの連絡対応で扱います。

対応を終える前に、未解決の事項と次の確認担当を記録します。負担が保留中の費用や未実施の作業があれば、必要な資料と次の報告予定を管理会社と決めます。

05当社でできること・できないこと

できること

  • 害虫・害獣の申告について、調査依頼に必要な情報を整理する
  • 管理委託契約に沿って、業者手配と貸主承認の範囲を確認する
  • 管理をお引き受けする(全国/管理料は月額賃料の5%・税別・最低管理料なし)

できないこと

  • 現地・室内を見ずに、実際の賃料を確定させること
  • 空室が必ず埋まると保証すること
  • 調査前に駆除費用の負担者を確定すること
実際にお渡ししているレポートを、そのまま公開しています
架空の物件でお作りしたものを、原寸で全部お見せしています。空室の損失、賃料の位置、修繕の回収期間、売却の目安まで、A3一枚に入っています。

入居者対応も含めて、管理上の不安を整理できます

お預かりした物件情報をもとに、いま何が起きているか、どこまで手を入れるべきか、持ち続けるか売るかまで整理して、A3一枚にしてお送りします。費用はかかりません。

LINEで管理の相談 管理のご依頼をいただかなくても構いません。対応エリアは全国です。区分マンション・戸建ては全国どこでもご相談いただけます。一棟は清掃・巡回・修繕の手配先を組んでから管理を開始します。
この記事について
根拠資料:民法606条1項・615条。必要な修繕と借主の責めに帰すべき事由、修繕が必要な場合の通知義務を確認しています。駆除費用の負担を一律に決める規定ではありません。国土交通省「賃貸住宅標準管理受託契約書」の第9条・頭書(3)の業務内容、第5条・頭書(5)の費用、第6条の立替費用の償還と事前協議、第11条の緊急時の業務、第17条の住戸への立入調査を参照しています。確認表と記録項目は実務上の整理例です。業務の範囲・報酬・報告の頻度は管理委託契約書によって異なります。実際の判断はご自身の契約書をご確認ください