正当事由(せいとうじゆう)

借地権契約や借家契約の場合、借り手が契約更新を求めた場合に、貸主側に正当事由がなければ更新を拒否できず、明け渡しを求められないと法律によって決められています。急に明け渡しを求められれば、借地や借家を生活拠点として暮らしている借家人にとって多大な苦痛を伴うことに配慮し、賃借人保護のために設けられているものです。ただし、借り手が家賃を何カ月も滞納している、貸主に無断で転貸している、期間の約束をしているときなどは正当事由がなくても明け渡しを請求できます。貸主側が借り手に明け渡しを求めて訴えた場合、裁判所は正当事由の有無によって貸主、借り手の勝敗を決します。貸主側の要求が認められる正当事由の代表的なものに、家主や家族、近親者や従業員が住むために必要、家主の営業に必要、借家を高く売りたい、建て替えや大修繕をするなどが挙げられます。平成3年には立退料の提供も正当事由にできるとされました。しかし、立退料の額が少なくて借り手側の損失補てんに不十分の場合は、正当事由として認められないこともあります。

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