権利の濫用(けんりのらんよう)

民法に「権利の濫用はこれを許さない」という規定があります。正当な権利を持っている者であっても、その権利を行使することが、他者に多大な損害を与える、あるいは社会的概念から逸脱していると判断される場合は、権利の行使が許されない、とされるものです。権利の濫用の判断は司法(裁判所)が行うため、ケースバイケースとなることが多いのですが、不動産関連では次のようなケースで権利の濫用とされた判例があります。

・家賃を滞納している借主に対し、貸主が借主のガスや水道を止めた事例。
・別居中の夫婦の夫が、妻が住む共有名義の不動産の夫の持分を妻の同意なしに譲渡しようとした事例。
・私道の所有者が、他人の通行を妨げるために私道入口にバリケードを設置した事例。
・住居専用という賃貸マンションに、事務所として使用する借主が多数存在する場合に、特定の借主に対し「事務所使用は契約違反」として貸主が退去を求めた事例。

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