旗竿地(はたざおち)は、一般的な土地とは異なる形状を持つため、購入を検討する際には特別な注意が必要です。
この記事では、旗竿地の特徴やメリット・デメリット、購入時の注意点について詳しく解説します。
目次
Toggle旗竿地(はたざおち)とは?
旗竿地とは、道路に接する細長い部分(竿部分)と、その先に広がる敷地(旗部分)からなる土地のことを指します。
この形状が「旗と竿」に似ていることが、名前の由来です。
正方形や長方形に近い形の土地や、側面全体が道路に接する土地の「整形地」に対して、旗竿地のようないびつな形状の土地は「不整形地」 と呼ばれています。
旗竿地は、限られた土地を有効活用するために生まれることが多く、都市部でよく見られます。
旗竿地のメリット
旗竿地にはいくつかのメリットがあります。以下にその主なポイントを挙げてみましょう。
相場よりも価格が安い
旗竿地は一般的な整形地に比べて価格が安いことが多いです。
具体的には、周辺の土地の相場と比較して20〜30%ほど安くなるケースがあります。
これにより、予算を抑えて住宅を購入したり、浮いた分を建物や設備のグレードアップに活用することができます。
固定資産税や都市計画税が抑えられる
旗竿地は整形地に比べて、評価額が低いため、固定資産税や都市計画税も抑えられることが多いです。
固定資産税や都市計画税は土地の評価額に基づいて計算されるため、旗竿地のような特殊な形状の土地では、支払う税金が安く済む可能性があります。
プライバシーが確保しやすい
旗竿地は道路から奥まった位置にあるため、プライバシーが確保しやすいです。
具体的には、道路の通行人や車などからの視線を気にせずに生活でき、落ち着いた住環境で暮らせます。
道路から離れていて静か
旗竿地は、建物を建てる敷地が道路から離れています。
そのため、通行者や車などの交通騒音が少なく、静かな環境を享受できます。
都市部で静かな環境を求める人にとっては、魅力的なメリットと言えるでしょう。
旗竿部分を駐車スペースにできる
旗竿地は、旗竿部分を駐車スペースとして利用することが多いです。
縦列駐車の必要はあるものの、奥の敷地(旗部分)を建物のためにフル活用しつつ、道路に近い駐車場が確保できます。
整形地より大きな家が建てられるケースがある
旗竿地は、整形地よりも大きな家を建てられる場合があります。
整形地は、駐車スペースを確保して残った面積に建物を建てますが、旗竿部分に駐車できる旗竿地は、奥の敷地(旗部分)が建物のためにフル活用できるためです。
このように、建築面積を最大限に活用することで、3階建ての建築が可能なケースもあります。
旗竿地のデメリット
一方で、旗竿地にはデメリットも存在します。以下にその主なポイントを挙げてみましょう。
風通しや日当たりが悪いケースがある
旗竿地は周囲の建物に囲まれていることが多く、風通しや日当たりが悪い場合があります。
このデメリットを解決するために「ダイニングやリビングを2階に作る」「家の中に吹き抜けを作る」などの工夫をすることが望ましいでしょう。
余計な建築コストがかかる可能性がある
旗竿地は形状が特殊なため、建築コストが高くなることがあります。
例えば、外構工事、配管や電線の引き込み工事などが追加で必要なケースがあります。
さらに、敷地内に重機が入れない場合、人員を増員する必要があり、それだけ工事費が高くなる可能性があります。
建て替えできない場合がある
旗竿地は建築基準法の制約を受けることがあり、建て替えが難しい場合があります。
具体的には、道路に接する部分の幅が2mに満たない場合、建築基準法の接道義務を満たさず、 建て替えや新築ができません。
このような物件を「再建築不可物件」と言います。
将来的に建て替えを考えている方は、購入時に、特に注意してください。
防犯面で不安な部分がある
旗竿地は奥まった位置にあり、プライバシーは確保できるものの、防犯面で不安があります。
例えば、犯罪者が侵入しても、周囲が異変を察知しづらい可能性があるためです。
そのため特に、通路を意識して、監視カメラやゲートを設置するなどの防犯対策が望ましいでしょう。
周囲の家との騒音トラブルに注意が必要
周囲の建物に囲まれる旗竿地には、騒音トラブルのリスクもあります。
特に旗竿地の住宅で「ピアノなどの楽器が弾きたい」という場合は、防音に非常に配慮することが求められます。
売れにくい場合がある
旗竿地は一般的な整形地に比べたデメリットが強調されたり、評価の低さなどを理由に売れにくいことがあります。
特に建築不可物件であったり、生活上の不都合が発生する物件は、将来の売却が非常に難しい可能性があります。
旗竿地を購入する際の注意点
旗竿地を購入する際には、いくつかの注意点があります。以下にその主なポイントを挙げてみましょう。
路地部分の幅を確認する
旗竿地の路地部分の幅が十分であるかを確認することが重要です。
すでにご紹介したように、重機が入れないほど幅が狭いと、工事費用が余計にかかる可能性があります。
また、消防車や救急車が進入できない狭さだと、緊急の対応が難しくなる恐れがあります。
さらに幅が2m未満だと、再建築不可物件となり、建て直しや新築ができず、さらに売却が非常に難しくなります。
事前に工事費用を相談する
旗竿地の建築には特別な工事が必要な場合があるため、事前に工事費用を確認しておくことが重要です。
特に「家を建て直す/新築する場合に、重機が入れる広さか」については、よく確認しておきましょう。
旗竿地についての疑問
ここからは、旗竿地に関するよくある疑問について解説します。
旗竿地の評価額の計算方法は?
旗竿地の評価額の評価方法と計算方法は、以下の3つです。
「路線価 × 土地面積 × 奥行価格補正率」で計算できます。
・「狭い間口の宅地」として評価
「路線価 × 土地面積 × 間口狭小補正率」で計算できます。
・「不整形地」として評価
「路線価 × 土地面積 × 不整形地補正率」で計算できます。
旗竿地はなぜ生まれる?
旗竿地は、土地の分割や再開発の過程で生まれることが多いです。
例えば、都市部で限られた土地を有効活用するために、旗竿地が生まれることがあります。
また、相続や売却の際に、売れやすい価格・広さに土地を分割することで旗竿地が生まれるケースもあります。
旗竿地の購入に向いている人
旗竿地の購入に向いている人は、以下の通りです。
- 静かな環境を求める人
- 家の外装や内装にこだわりたい人
- 洗濯が外干しできなくても良い人
- 費用を抑えて人気エリアに住みたい人
- 固定資産税や都市計画税を安く抑えたい人
- 利便性の高い地域に住みたい人
- 将来、家・土地をスムーズに売却したい人
まとめ
旗竿地は、価格が安く、プライバシーが確保しやすいなどのメリットがありますが、風通しや日当たりが悪い、建築コストが高くなるなどのデメリットもあります。
購入を検討する際には、メリットとデメリットを十分に理解し、さらに再建築不可物件でないかよく確認することが重要です。
「安物買いの銭失い」とならないように、旗竿地の購入に際しては、事前に専門家に相談することをおすすめします。
