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Toggle狭小物件とは
狭小物件とは、居住面積が「10㎡~20㎡程度」の物件です。
住生活基本計画における居住面積水準(厚生労働省)では、世帯人数ごとの最低居住面積水準を以下のように紹介しています。
2人:30㎡
3人:40㎡
狭小物件に国が定める定義は存在しませんが、上記の居住面積水準を下回る物件は、狭小物件ということができるでしょう。
若年層を中心に狭小物件が人気に
狭小物件は近年、若年層中心に人気が高まっています。
かつて「広い家に住みたい」という価値観が一般的な時代もありましたが、Z世代などを中心に「狭くても自分にとって必要なものがあれば快適」「空間効率を最大限に利用して暮らしたい」などの価値観も浸透してきています。
実際に狭小物件には多くのメリットがあるため、価値観が合致する方にとっては、素晴らしい選択肢ということもできるでしょう。
狭小物件のメリット
狭小物件には、一般的な居住面積以上の物件にはない、多くのメリットが存在します。
安い家賃で好立地に住める
狭小物件であれば、限られた予算でも駅近や繁華街などの、好立地に暮らすことが可能になります。
物件の家賃は基本的に部屋の広さに比例するため、部屋が狭くなるだけ、家賃が抑えられるためです。
家賃を抑えることで、お金を他の出費に回したり、貯蓄することもできます。
掃除や整理整頓がラク
狭小物件は居住面積が狭く、部屋数も少なくなりますが、それは「掃除や整理整頓の範囲が少なくなる」ことを意味します。
つまり、家事負担が軽減することで時間を有効活用でき、家もキレイな状態を保ちやすくなります。
忙しい現代人にとっては、大きなメリットの一つと言えるでしょう。
光熱費がかからない
狭小物件は、広い家よりも暖房/冷房効率が良いと考えられます。
そのため、光熱費を抑えることが期待できます。
世界的な燃料価格の上昇によって、日本の光熱費は今後も値上がりする可能性がありますが、狭小物件ではその影響を抑えられます。
最低限の物で生活する習慣が身につく
狭小物件は、収納スペースが少ないため、持ち込める物の量が限られます。
そのため、自然と持ち物が減るようになり、最低限のもので生活する習慣を身につけることが可能です。
近年、「断捨離」や「ミニマリスト」といった言葉が流行しており、物を減らす生活に興味を持つ人も増えています。
狭小物件は、そうしたライフスタイルを実践しやすい環境を提供します。
引っ越しが安く、早く済む
狭小物件は、持ち込める家具や荷物が自然と少なくなるため、引っ越しの際の費用も安く済むと考えられます。
家具・荷物が少なければ、梱包作業なども減り、荷造りの期間なども短縮できるでしょう。
特に大型家具・家電を設置しない場合は、業者の繁忙期でも、かなり安い価格での引っ越しが期待できます。
また、一般乗用車や軽トラックに収まる量の荷物であれば、業者を利用せずに引っ越しできる可能性もあります。
人を呼ばない口実ができる
「極力、他人を家にあげたくない」という方の場合は、狭小物件を口実にできる可能性があります。
具体的には「部屋がとても狭く、もてなせるスペースがない」などを伝えることで、家に呼べないことを納得してもらいやすくなるでしょう。
狭小物件のデメリット
狭小物件には、上記のようなメリットの他に、いくつかのデメリットも存在します。
住んでしまった後ではカバーが難しいデメリットもあるため、よく確認しておきましょう。
物が増やせない
狭小物件は一般的な物件と比較して、物を置けるスペースや、収納スペースも少ないです。
そのため、一定量以上に家具や荷物を増やすことはできません。
無理に物を増やすと、日常生活に支障をきたすほど部屋が狭くなります。
開放感が得づらい
狭小物件は開放感が得にくく、圧迫感を感じやすいと考えられます。
「どうしても狭小物件が良いけれど、できるだけ圧迫感を感じたくない」という方は、ロフト がついているなど、天井が高めの物件を選ぶと良いでしょう。
夏はロフトが暑いケースも
暖かい空気は上昇するため、特に夏場のロフトスペースは暑くなりやすいです。
狭小物件は、広い家よりも冷房効率が良いと考えられますが、エアコンの設置場所などによっては、ロフトの温度が下がりにくいケースも考えられます。
このような場合は空気循環が必要なので、サーキュレーターなどを活用しましょう。
災害の影響を受けやすい可能性
住居が緊密に隣り合っている狭小物件では、火災の影響を大きく受ける可能性があります。
具体的には、火が燃え移りやすかったり、煙が届きやすい恐れがあります。
また、細長い形状の狭小物件は、正方形の物件などと比較して揺れを大きく感じるなど、地震の影響が大きくなる可能性もあります。
騒音トラブルが発生しやすい可能性も
狭小物件は周囲の住戸との距離が近いため、互いの生活音が聞こえやすい可能性も考えられます。
防音性能にも配慮した物件でない場合、騒音トラブルが発生しやすい恐れもあるため、物件選びではご注意ください。
人を呼びづらい
狭小物件の面積によっては、友人などを家に呼んでもてなすのが難しいケースも考えられます。
また、友人を家に呼べたとしても、防音性能がしっかりとしていない場合は、すぐに騒音トラブルに発展する恐れもあります。
狭小物件を最大限に活用する方法
限られた空間を有効活用するためには、以下のような工夫をしてみると良いでしょう。
鏡や絵・写真などを利用する
大きな鏡を設置すると、もう1部屋あるかのように広さを感じることができます。
また、開放感のある絵や写真を飾ることで、部屋の圧迫感を軽減することが期待できます。
サブスクリプションサービスを利用する
現在は、洋服から日用品まで、あらゆる物がサブスクリプションで、必要な時に必要なだけレンタルできます。
狭小物件で快適に過ごすためには「できるだけ物を増やさないこと」が重要なので、サブスクリプションサービスを積極的に利用するのも良い方法と言えるでしょう。
家電を設置しない選択肢も
狭小物件に住む場合は、はじめから「家電を設置しない」という選択肢を取ることも得策です。
例えば、洗濯機を設置しなくても、定期的にコインランドリーを利用すれば問題ありません。
また、近所にスーパーやコンビニがあれば、冷蔵庫なしで生活することも不可能ではありません。
テレワークや趣味用に賃貸する
狭小物件は、家賃の安さが大きな魅力です。
そのため、 居住用ではなく、特定の目的のために借りるという選択肢もあります。
例えば「平日にテレワークの仕事場として利用する」「休日限定で使う趣味部屋にする」など、用途に合わせて有効活用することもできます。
狭小物件に向いている人
狭小物件は、以下のような人におすすめです。
- 家賃を抑えたい人
- 安い家賃で駅に近い場所や好立地に住みたい人
- 掃除や整理整頓が面倒な人
- ミニマリスト的な生活に憧れている人
- 一人暮らしの人
- 狭い居住スペースがストレスにならない人
- 普段生活する家は別にあり、限定的な用途で使いたい人
- 家に多くの友人・知人を呼ぶ予定のない人 など
狭小物件に向いていない人
狭小物件は、以下のような人には向いていない可能性があります。
- 広い家に住みたい人
- 持ち物が多い人
- 開放感のある空間を好む人
- 家族で暮らす人(特に小さな子供がいるご家族)
- ペットを飼っている人
- 多くの友人・知人を家に招きたい人 など
まとめ
狭小物件は、価値観やライフスタイルに合えば、快適で魅力的な住まいとなる可能性があります。
しかし、限られた空間であるデメリットもありますので、しっかりと理解した上で物件探しすることが重要です。
この記事を書いた人

宅地建物取引士、管理業務主任者、ファイナンシャルプランニング技能士、簿記、上級ウェブ解析士など様々な分野の資格を保有している編集部スタッフが「暮らし」に役立つ知っておきたい情報をお届けします。



