賃貸退去の「立会い」完全ガイド! トラブルを防ぐ方法も解説

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賃貸住宅から退去する時、求められる「立会い」。

部屋の状態を確認し、敷金の精算を行う重要な手続きです。

しかし「絶対に立ち会わないといけないの?」「何を準備すれば良いの?」「どんなことに注意すれば良いの?」と、疑問をお持ちの方も多いことでしょう。

そこで今回は、退去時の立会いの流れや注意点、トラブルを防ぐためのポイントをわかりやすく解説します。

スムーズな退去のために、ぜひ参考にしてください。

結論から言うと、物件の退去時の立ち合いは「できるだけした方が良い」でしょう。

退去に際しては、敷金の清算や修繕費用の確認を行うために、物件の状態を確認します。

その場に立ち会うことで、貸主と借主の間で物件の状態に関する認識を共有し、トラブルを未然に防ぐことができます。

もしも立ち会わなかった場合「壁の傷は入居前からあった」「備品の汚れは、経年劣化によるもの」などの申し立てがその場でできず、借主の過失でない修繕費用まで請求される恐れもあります。

どうしても本人が立ち会えない場合はどうする?

仕事の都合や病気などで、どうしても本人が立ち会えない場合は、2つの方法があります。

1つめの方法は、立会い日の変更です。

不動産会社に立ち会えない理由を伝えて、 日程の変更を相談します。

2つ目の方法は、代理人を立てることです。

代理人には、信頼できる家族や友人を選びましょう。不動産会社に許可がもらえたら、代理人の委任状を用意してください。

退去までの流れ

ここからは立会いを含めて、物件から退去するまでの流れを確認します。

退去までの流れを把握して、その中ですべきことを理解しておいてください。

解約予告期間内に、解約したいことを伝える

引越しが決まったら、なるべく早く、貸主(大家さんや不動産会社など)に対して解約の意思を伝えます。

通常、物件の解約は、1ヶ月〜2ヶ月前までに伝えなければならず、これを「解約予告期間」と言います。

取り急ぎ、解約の意志を伝える手段としては、電話で大丈夫です。

解約通知書を送付する

解約の意思を伝えた後は、大家さんや不動産会社などに「解約通知書」を送付します。

一般的には「退去届」と呼ばれる書類です。

借主に関する情報、退去する部屋の番号、退去予定日、退去の理由、契約満了日など、必要事項を記載してください。

なお「解約予告した日」がいつかは、不動産会社によって異なるため注意が必要です。

電話が来た日を解約予告日とする会社もある一方、解約通知書が手元に届いた日を解約予告日とする会社もあります。

立会いの日程を決める

貸主と相談し、立会いの日程を決定します。

立会日と引っ越し日を合わせたい場合は、先に引っ越し業者のスケジュールを確認しておくと良いでしょう。

なお、春先前後の引っ越しが多い時期などは、スケジュール調整が少し難しくなるかもしれません。

立会いの日程が決まったら、スケジュールに余裕を持って準備を進めましょう。

荷物を運び出す/引越し

退去日までに荷物を運び出し、引越しを完了させます。

春先などの繁忙日は特に、早めに引っ越し業者の予約をしておくと安心です。

なお、引っ越しに際しては不要品の処分が必要なケースもあります。

売れそうなものは出張買取やリサイクルショップへの持ち込み、フリマアプリへの出品などを行うと良いでしょう。

売れないものについては、粗大ゴミに出すほか、ゴミ処理施設への直接持ち込みが可能なケースもあります。

部屋を掃除する

退去後は、プロのクリーニング業者が部屋の清掃を実施するため、部屋の掃除は必須ではありません。

しかし、しっかりと掃除をすることで「部屋をきれいに使っていた」と判断され、敷金の返還額が増える可能性もあります。

掃除はどこまですべき?

掃除は、常識的な範囲内で部屋をきれいにすることを目指します。

通常の使用による損耗や経年劣化は問題ありませんが、通常の掃除できれいにできる箇所は、きちんと掃除しておくことが望ましいでしょう。

特に、カビや汚れが目立つ箇所はしっかりと掃除してください。

通常の掃除やお手入れを怠ったことでできた汚れは、借主に原状回復義務が生じます。

立会い当日

立会い当日は、貸主と一緒に物件の状態を確認します。立会いの際には、物件の状態を詳細にチェックし、修繕が必要な箇所を確認します。

なお、立会いは引っ越し当日に実施するケースも多いです。

この場合のスケジュールとして「引っ越し後に掃除をして、立ち会う」「事前に掃除を済ませておき、引っ越し後すぐ立ち合う」などが考えられます。

立会いにかかる時間はどのくらい?

立会いにかかる時間は、物件の広さや状態によりますが、通常は30分〜1時間程度です。

次の予定を入れる場合は、余裕を持ったスケジュールになるようにしてください。

立会い当日に必要なもの

立会い当日には「鍵、賃貸借契約書、身分証明書、 印鑑」などが必要です。

また、敷金の返還口座を指定するために「通帳やキャッシュカード」も用意しておくと良いでしょう。

この他、物件の汚れや傷について、入居前からあるか確認するケースがあります。

このような場合に備えて「入居の際に部屋を撮影した動画や写真」があれば、それも用意しておくと良いでしょう。

立会いに関する書類にサインをする

立会いが終了したら、貸主から提示される書類にサインをします。これにより、物件の状態や修繕費用に関する合意が成立します。

サインをする前に、書類の内容をしっかりと確認しましょう。

鍵を返却する

最後に、貸主に鍵を返却します。鍵の返却時には、貸主と一緒に鍵の本数を確認しましょう。

スペアの鍵が見つからない場合は、費用が請求されますのでご注意ください。

鍵の返却が完了すると、正式に退去手続きが終了します。

敷金が清算される

退去後、敷金の清算が行われます。修繕費用が敷金から差し引かれ、残額が返金されます。

ただし、修繕費用が敷金を上回った場合、追加で差額を請求されるケースもあります。

敷金の清算は、解約から1ヶ月程度で実施されるケースが多いですが、時間がかかる場合もあるため、具体的な時期については貸主に確認しておくと良いでしょう。

立会いでチェックする項目とは?

賃貸物件から退去する際の立ち会いで、主にチェックされる項目は以下の通りです。

  • 壁や天井の汚れや傷:特に目立つ汚れや傷がないか確認します。
  • 床の状態:フローリングやカーペットの汚れや傷、へこみなどをチェックします。
  • ドアや窓の動作:ドアや窓が正常に開閉するか、鍵が壊れていないか確認します。
  • エアコンや換気扇、ウォシュレットなどの動作:正常に動作するか確認します。
  • キッチンの状態:シンクやコンロ、換気扇の汚れや故障がないか確認します。
  • バスルームの状態:浴槽やシャワー、トイレの汚れや故障がないか確認します。
  • 収納スペースの状態:クローゼットや収納棚の汚れや故障がないか確認します。
  • :大きな汚れ、カビ、シミなどが発生していないか確認します。
  • におい:部屋ににおいが染み付いていないか確認します。
  • 電気・ガス・水道のメーター:これらライフラインの利用が停止されているか確認します。 
  • ゴミの処理:全てのゴミが適切に処理されているか確認します。

退去に際しての注意点

ここからは、退去に際しての注意点を2つご紹介します。

できるだけ入居日と退去日を合わせる

新しい物件への入居日と現在の物件の退去日をできるだけ合わせることで、家賃の二重払いを防ぐことができます。

家賃の二重払いとは、住んでいた物件と新しい物件の両方で、同時期に家賃が発生することです。

できるだけ、入居日と退去日を合わせることで、家賃の二重払いの発生を最小限に抑えることができます。

請求内容や金額に納得できない場合は、必ず確認する

請求内容や金額に納得できない場合は、必ず貸主に確認しましょう。納得できるまで説明を受けることが大切です。

大家さんや不動産会社と話し合っても、疑問が解消しない場合は、相談窓口の利用を検討しましょう。

退去時のトラブルに関する相談窓口

退去時にトラブルが発生した場合は、不動産関連の問題に対応した窓口に相談すると良いでしょう。

退去時のトラブルに関する相談窓口には、以下のようなものが挙げられます。

国民生活センター
消費者ホットライン
日本消費者協会
不動産適正取引推進機構
法テラス
各市区町村の法律相談窓口 など

退去時のトラブルを防止する方法

賃貸物件を退去する際のトラブルを未然に防ぐためには「事前に契約書の内容をしっかり チェックしておくこと」が重要です。

ここではそれ以外の方法として、2つをご紹介します。

入居前に動画や写真を撮っておく

入居前に物件の状態を動画や写真で記録しておくことで、退去時にトラブルが発生した際の証拠として活用できます。

具体的には、入居前からある傷や汚れの箇所、設備の動作確認を、動画や写真で詳細に記録しておくと良いでしょう。

また入居時に、管理会社から部屋の状態に関するチェックリストがもらえる場合は、詳細に書き込んでおきましょう。

国土交通省のガイドラインに目を通しておく

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、原状回復におけるトラブルを防止するための内容が記載されています。

大きなポイントとしては、原状回復は「借主が、部屋を入居時の状態に戻すことではない」ということです。

つまり、借主は、通常に部屋を使用していても生じる損耗や経年劣化については、原状回復の必要がありません。 

ガイドラインに法的拘束力はありませんが、2020年4月施行の改正民法では、この内容が明記されました。 

詳しくは法務省のパンフレットをご覧ください。 

まとめ

退去時の立会いは、物件の状態を確認し、敷金の清算や修繕費用の確認を行うために重要なステップです。

事前に流れを把握し、必要な手続きを行うことで、スムーズに退去を完了させることができます。

もしも退去時にトラブルが発生した場合は、各種相談窓口をご利用ください。

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