目次
Toggle和室とは
和室は、畳を敷き詰め、襖や障子を用いた、日本の伝統的な住空間です。
鎌倉時代から室町時代にかけて、その原型が確立したと言われています。
近年の住居は洋室が主流となっているものの、和室ならではの風情や機能性が見直され、現代の住まいに取り入れられるケースも増えています。
和室の構成要素
和室には、以下のような構成要素があります。
イグサで作られた床材で、和室の象徴的な要素です。弾力性があり、素足で歩くと 気持ち良いだけでなく、調湿効果・保温効果も持ちます。
・襖
和室の建具の一つで、紙や布を貼った枠でできています。引き戸式で、開閉が容易なだけでなく、空間の区切りや目隠しとしても利用できます。
・障子
和室の建具の一つで、薄く透ける障子紙を貼った枠でできた戸です。襖と同様に引き戸式で、採光や通風を調整する役割を果たします。
・床の間
和室の一角に設けられた、掛け軸や花などを飾るためのスペースです。格式の高い空間として、来客をもてなす際などに利用されます。
・長押
柱どうしを繋ぐ横長の部材で、装飾的な役割だけでなく、壁の補強にも役立ちます。
・鴨居
戸を嵌めるための横長の部材です。
・敷居
戸を嵌めるための下枠です。
・欄間(らんま)
鴨居と天井の間にある透かし彫りの部材で、採光や通風を調整する役割を果たします。
和室のメリット
日本の文化や暮らしに深く根付いてきた和室。精神的に落ち着くだけでなく、実用面でも多くのメリットがあります。
幅広い使い方ができる
和室は、以下のように、様々な用途に利用できます。
・寝室
・子供部屋
・作業部屋
・書斎
・仏間 など
このように、和室は自由度が高く、フリースペースのように活用できる点が便利と言えるでしょう。
リラックス効果がある
畳に使用される、イグサの香りによるリラックス効果があるとされています。
心身ともにリラックスできる空間を家に作りたい方にも、和室は適しています。
吸湿性能が優れている
畳のイグサは優れた吸湿性を持っています。一方、乾燥時には湿度を放出するなど、調湿効果があるのです。
このため和室は、湿度の高い梅雨時や乾燥する冬でも、快適な空間を保ちます。
防音性能が優れている
畳には弾力性があり、音を吸収するため、防音性能に優れています。
これにより、隣室の音漏れなどの軽減が期待できます。
畳の弾力性は体を優しく支え、さらに防音性もあるため、和室は子供部屋としても適していると言えるでしょう。
収納性が高い
和室には、押入れや床の間など、収納スペースが多く設けられています。
特に押入れは、一般的なクローゼットよりも大容量です。
布団や衣類をはじめ、生活用品が多い方には メリットと言えるでしょう。
和室のデメリット
和室には多くのメリットがある一方、 以下のように気をつけたいデメリットも存在します。
家具による傷・跡ができやすい
畳は柔らかい素材なので、重い家具を設置すると跡が残ったり、凹んだりすることがあります。
家具の脚に保護シートなどを貼るなどの対策はできますが、畳をきれいに保ちたい場合は置ける家具・インテリアが限られます。
メンテナンスに手間がかかる
畳はフローリング以上に、定期的な掃除やメンテナンスが求められます。
なおフローリングの場合、ロボット掃除機で掃除の負担が軽減できますが、畳の場合は使えない機種も多いと考えられます。
カビ・ダニに注意が必要
部屋の湿度が高いと、どんどん畳が吸湿して、カビが発生しやすくなります。
そのため、梅雨時など湿度の高い日が続く時などは、エアコンの除湿なども上手に活用する必要があります。
また、掃除を怠るとダニが発生する恐れがありますので、日頃からこまめに掃除してください。
カビやダニはアレルギーの原因となるため、適切な対策をしましょう。
フローリングより畳の寿命が短い
畳は、フローリングに比べて寿命が短く、10年以内に張替えが必要になる場合が多いです。
そのため和室は、洋室と比較してランニングコスト(維持費)が多くかかる可能性があります。
賃貸では退去費用が高くなる可能性も
和室のある賃貸物件は築年数が古いケースも多く、安価に借りられるケースも多いです。
一方、畳に家具のへこみや傷・変色などが起きやすいため、退去費用が高額になるケースも少なくありません。
なお「通常の生活による損耗や経年劣化については現状回復の必要がない」と、2020年施行の改正民法で明文化されました。
ただし、掃除やメンテナンスの怠りによる傷や汚れには、現状回復が必要となる可能性があるためご注意ください。
和室の選び方
新居に和室を作る場合・建売住宅を選ぶ場合・賃貸を選ぶ場合などは、和室をどのように選べば良いのでしょうか。
ここからは、和室の選び方のポイントをご紹介します。
リビングと隣り合わせにする
和室をリビングと隣り合わせにすることで、空間を広く見せることができます。
小さな子供の昼寝や遊び場として和室を使用する際、リビングと隣り合わせになっていると見守りに便利です。
家にマッチした広さや形にする
和室の広さは、用途に合わせて選びましょう。
客間として使用する場合は来客人数を考慮して広めに、一人でリラックスするためであれば狭めに、など必要な広さを選ぶようにします。
また、和室の形は、家具の配置や動線を考慮して選びましょう。
全体を考えたデザインにする
和室は、別の部屋や家全体のバランスを考えたデザインにすると良いでしょう。
必ずしも色や柄を統一する必要はありませんが、別の部屋や家全体から見て、不自然に浮いた空間とならないようにご注意ください。
置き畳も検討する
置き畳は、フローリングなどに敷くことができる簡易的な畳です。設置や撤去が簡単で、必要な時だけ和室を作ることができます。
賃貸物件に住んでいる方、部屋の一角など限られたスペースに和室を作りたい方などにおすすめです。
賃貸の和室の選び方は?
賃貸物件で和室を選ぶ際には、以下のような点に注意しましょう。
和室は日当たりが悪いと、カビやダニが発生しやすくなります。できるだけ日当たりの良い部屋を選びましょう。
・設備の新しさ
畳や襖、障子などの設備が古すぎると、すぐに劣化してしまう可能性があります。設備の新しさも確認しましょう。
・床面積
和室の床面積が大きすぎると、家賃が高くなります。必要な広さのものを選びましょう。
和室の掃除・メンテナンス方法
和室を快適に保つためには、定期的な掃除とメンテナンスが必要です。
ご自分での掃除やメンテナンスが難しい場合は、専門業者への依頼もご検討ください。
畳の掃除・メンテナンス
壁に付着したゴミやホコリを掃除機で吸い取ります。
・雑巾で拭き掃除をする
壁を水拭きする場合は、固く絞った雑巾で拭き、その後すぐに乾拭きします。
・カビ取り剤を使用する
カビが生えている場合は、カビ取り剤を使用して除去します。
白木部分の掃除・メンテナンス
障子・鴨居・長押し・柱などの白木部分は、基本的に乾拭きをして汚れを落とします。
・水拭きする
気になる汚れには、よく絞った雑巾で水拭きし、必要に応じて白木用の洗剤などを使ってください。
まとめ
和室は、日本の伝統的な空間であり、様々な魅力を持つ空間です。
メリットとデメリットをよく理解した上で、和室を上手に活用し、快適な暮らしをクリエイトしてください。
この記事を書いた人

宅地建物取引士、管理業務主任者、ファイナンシャルプランニング技能士、簿記、上級ウェブ解析士など様々な分野の資格を保有している編集部スタッフが「暮らし」に役立つ知っておきたい情報をお届けします。



